崩壊の顛末

 生産現場のメンバーの結束力がとても強い工場がある。これをB工場と呼ぼう。工場の操業を先導する課長や、実務経験豊富な係長は皆、非常に仕事熱心。生産工程で何かトラブルが発生すると、すぐに主要メンバーが結集。全員で協議し、対策を実践するというフットワークの軽さを見せていた。

 生産工程で設備トラブルが発生すると、直ちに技術課長やその部下の係長たちが集まり、一刻も早く設備を再稼働させようと修理に走る。製造課長は、設備トラブルで遅れた分の生産量を何とかリカバリーしようと関係各所に協力を要請。人を集めて段取りを工夫し、とにかく出荷に穴を開けないようにと動くのだった。全員で一致団結し、難局を切り抜けるために全力を尽くすというのが、B工場の現場だった。

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(出所:日経 xTECH)

 そのため、何かトラブルがあるたびに、中心となるメンバーたちの意欲は高まり、結束はより強固になっていった。発生するトラブルが大きいほどメンバーは発奮し、トラブルを乗り切った時には、全員で苦労を称え合うのだった。

 ところが、トラブルは増加する一方。新たな種類のトラブルだけではなく、過去に生じたトラブルと似たトラブルを何度も繰り返していた。その上、働き方改革の導入で残業時間が厳しく管理されるようになり、休日出勤で補うという“奥の手”も使えなくなった。それでも容赦なく迫る納期のプレッシャーを受けながらの激務に抗えず、メンバーが1人、また1人と体調不良やメンタルヘルス不調でダウン。鉄の結束力を誇っていた現場が、まるで歯車が抜け落ちたかのように機能不全に陥り、ついには納期遅れを出して顧客から厳しいクレームを言い渡されてしまった。

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