「日本の企業・日本人は、自分たちがマイノリティーであることをもっと認識しなければいけない」。シリコンバレーのグローバル企業で先端技術領域のキャリアを積み、日本の自動車メーカーに転職したある日本人エンジニアの言葉です。

 私は転職エージェントとして、日々、AI(人工知能)やロボティクスなど先端技術領域の方々とお会いし、主に自動車業界への転職について情報提供や支援をしています。冒頭の言葉と同様の声を幾つも耳にして、強い危機感を抱いています。

先端エンジニアを流出させかねない

 自動車業界では、各社が自動運転やコネクテッドカーなど「CASE」と呼ばれる技術開発、サービス開発を推進中。米グーグル(Google)や米アップル(Apple)といったグローバルIT企業が新たなライバルとなる中、競争力を付けていくために、ITの先端領域の人材採用を強化しています。

 ITの先端領域から人材を迎えるに当たり、自動車メーカーはさまざまな努力をしています。例えば、東京への拠点新設、オフィス環境の整備、給与体系の見直しなど。開発体制についても、ウオーターフォール開発からアジャイル開発へのシフトを進めています。それらを実現するためには、大組織の一部では不都合が生じるため、独立させた新会社を設立する動きも見られます。

 そうした施策は一定の成果を上げ、ITの先端領域から自動車メーカーへ転職する人も増えてきました。自動車業界の社会貢献性の高さ、そして、投資額が大きく今までにない技術開発に取り組める点に魅力を感じて飛び込んできます。

 ところが、やはり前にいた世界――シリコンバレーなどのIT先端領域の企業とのさまざまなギャップを感じてしまうのが現実。自動車業界側は、やっとの思いで獲得した人材を再び流出させてしまう可能性があるのです。

次世代のグローバルスタンダードを作っているのは日本ではない

 これまで日本の自動車業界は世界のトップに立ち、リードする立場にありました。しかしここに来て、先端技術領域の人材から「日本はマイノリティー」と評される現実に向き合う必要が出てきていると思います。