メーカーにとって、「国際標準化」の重要性が高まっている。国際標準化の専門人材へのニーズもある。リクルートキャリア ハイキャリア・グローバルコンサルティング部 知的財産領域担当の橋本尚弥氏が、公共団体からメーカーに転職を決めた人材の事例を語る。(日経 xTECH編集)

 グローバルでの競争が激化する中、大手メーカーでは「国際標準化」推進の動きが活発化しています。国際標準とは、国ごとに異なる製品の構造・性能や技術の規格を世界で統一したものを指します。国際標準化の担当者には、標準化団体や業界団体の国際会議に出席して規格策定を主導したり、技術動向を調査して自社にフィードバックしたりといった役割が求められます。

 Fさん(30代・男性)は、国際標準化のスペシャリスト。公共団体において国際標準化関連の規格策定を手がけてきました。安定したポジションで働きながらも、Fさんはもどかしさを感じていました。

 「これまで、多くの企業の国際標準化への取り組みを見てきました。けれど国際標準規格の取得だけが目的になっていて、労力やコストをかけて取得しても、活用されていないケースが多い。私は、事業や社会に貢献できるような規格を作っていきたいんです」

 Fさんは現状に一定の満足をしながらも、もんもんとした気持ちを抱えていました。そんなときに、知的財産分野での転職支援を得意とする私が、Fさんの国際標準化の経験に着目してSNSを通じてお声がけしたのです。

ライバル企業が「国際標準化」に注力

 そのとき、国際標準化担当のポジションで求人を出していたのは大手メーカー2社。1社は「事業会社出身の人が欲しい」とFさんの採用を見送りましたが、もう1つのX社が強い興味を示しました。

 X社では数年前から知財戦略を強化。以前の知的財産部門は技術部門のシェアードサービスのような位置付けで、特許出願が主な業務でした。しかし、事業に貢献できる「戦略的知財部門」への転換を目指し、技術や事業の方向性に対して知財の観点から提言する組織へと変革を進めていました。