崩壊の恐れがある崖に近接した土地に住宅を建築する場合、都道府県や中核市が定める建築基準法施行条例、いわゆる「がけ条例」や土砂災害防止法(以下、土砂法)、急傾斜地災害防止法などによって様々な制約が生じる。

 制約とは、例えば「建築物と崖の間に所定の高さの鉄筋コンクリート(RC)擁壁を設ける」「建築物の主要構造部はRC造とする」「建築物の位置は、崖から崖の高さの2倍以上の距離を確保する」などだ。

 居住環境や利便性が良好で利用価値が高い土地でも、こうした制約を克服する建築計画を立てると、対策費がかさんだり、設計の自由度が狭められたりする。

 鹿児島県内で100件以上の崖地対策を提案してきた技術士の上野敏孝氏は、土地の所有者が土砂法のルールをうまく使って自力で対策を行い、制約に縛られずに土地を活用できるよう支援している。土砂法に定められた技術基準を満たす防護用の待ち受け擁壁の設置を提案の中心に据えており、以下のような事例がある。

 1例目は鹿児島市稲荷町に位置するある企業の社宅跡地だ。環境が良く、多くの不動産会社が関心を寄せたものの、背後に迫る高さ約20mの崖がネックになっていた〔写真1〕。

〔写真1〕待ち受け擁壁で崖下の危険に備える
背後に高い崖が迫る宅地に立つ戸建て住宅。崖が崩落した場合でも安全を確保できる鉄筋コンクリート(RC)の待ち受け擁壁(赤い矢印)を設置して災害リスクを克服。木造住宅でも建築可能な宅地に転換した。上の写真はこのエリアを上空から見たところ(写真:上は上野 敏孝、下は奥野 慶四郎)
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