締め固め不足の地盤に水が浸透して生じる「水浸沈下」。締め固め不足の土砂には空隙が多く、土粒子間の接点に存在する水の表面張力によって自立が保たれている。

 しかし、その空隙に水が流れ込むと地盤内が飽和状態になり、表面張力が失われて軟弱化。地盤沈下を招く〔図1〕。豪雨が頻発すると排水しきれない分を加えた大量の水が地盤に浸透し、水浸沈下のリスクも増す。

〔図1〕表面張力の低下が地耐力を奪う
(資料:「基礎からの土質力学」(理工図書)を引用、一部加筆)
[画像のクリックで拡大表示]

 近年判明した水浸沈下の例を2つ紹介しよう。1つ目は、築半年で最大18mm沈下した木造2階建て住宅だ。宅地の地質は関東ローム層で、建築時には建物の対角線上3カ所〔図2のA-1~A-3〕でスウェーデン式サウンディング(SWS)試験を行っていた。深層混合処理工法(柱状改良)で地盤も改良済みだった〔図2の左〕。

〔図2〕柱状改良の不備で築半年の住宅が傾く
築半年の住宅が水浸沈下で傾いた。沈下量が最大のB-1地点は、建築時の地盤調査を未実施だ。沈下後の調査で、支持地盤の傾斜を確認。B-1地点は建築前の柱状改良が足らず、効果が得られていないとみられた。図中のWswは荷重、Nswは1m当たりの半回転数(資料:住宅地盤品質協会)
[画像のクリックで拡大表示]

 沈下量が最も大きかったB-1地点など2カ所でSWS試験を追加すると、支持地盤が傾斜していると判明した〔図2の右下〕。この結果から、沈下は次のように起こったと推測された。

 まずは事前の調査不足で支持地盤の傾斜を見逃して、改良設計を誤る。続いて、誤った設計のまま施工し、工事管理も不十分で改良体が支持地盤まで届かない状態になる。締め固めが足りなかったために、その後の降雨などで水浸沈下が生じて、B-1の改良体が沈む。最後にB-1地点の支えを失い、住宅が不同沈下する。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が4月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら