訪日外国人旅行者の増加と2020年の東京五輪・パラリンピック開催を背景に、バリアフリーに関する法令や基準の見直しが加速している。ホテルをはじめ建築物・都市のバリアフリー化を促進する仕組みづくりも進む。

 ホテルや旅館の車椅子使用者用客室の設置義務基準を客室総数の1%に増やす──。客室設置基準などを見直す改正バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)施行令が、19年9月1日に施行する〔図1〕。

〔図1〕ホテルのバリアフリー客室数を底上げ
現行と改正後の総客室数に対する車椅子使用客室の義務基準と誘導基準の変化。現行基準では総客室数を問わず1室で義務基準を満たす。改正後は総客室に0.01を乗じて端数を切り上げた数以上の車椅子使用者客室を設置する必要がある。既存建物への遡及はない(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 現行基準では、客室総数50室以上の宿泊施設は、車椅子使用者用客室を1室以上設けることが義務付けられている。改正後は客室総数が多いほど、設置を義務付ける客室数が増える。延べ面積2000m2以上、かつ客室総数50室以上のホテルや旅館の新築または増改築が対象だ。

 バリアフリー関係の法制度の整備などに長年関わっている東洋大学の高橋儀平教授は、「国際パラリンピック委員会に、日本は車椅子使用者が泊まれるアクセシブルルームが少なすぎる、と指摘された。英国ロンドンでは客室総数の4~5%がアクセシブルルームだ。五輪開催を機に基準を見直す国は多い。例えば過去の開催国では、韓国が義務基準を客室総数の3%に引き上げた」と話す。

 客室設置基準の改正と併せて、国土交通省はバリアフリー客室や一般客室に関する建築設計標準を見直している。建築士の定期講習などを通じて、見直し内容を周知する方針だ。

 ホテル・旅館のバリアフリー情報を提供する仕組みづくりにも取り組む。利用者が予約する際に、水回りの環境、ベッドの高さ、客室内通路や出入り口の幅など必要最低限の情報を得られる環境整備が進みそうだ。

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