防火関連規制の見直しが影響するのは木造の中層建築物だけではない。アトリウム空間を持つ旧38条認定建物の改修がしやすくなる見込みだ。また、避難安全検証法の新ルート追加で設計の自由度が上がりそうだ。

 改正建築基準法の施行に伴う建基法施行令改正の検討案が2018年12月8日に公開された。このなかで防火・避難規定に関する新たな改正内容があることが明らかになった。大規模建築物を中心に影響するものは、アトリウムにかかる規制の緩和や、異種用途区画の緩和、避難安全検証法の新ルート追加などだ。

アトリウムの規制を緩和

 検討案ではアトリウム空間を設けたビルの改修がしやすくなるよう、面積区画の適用見直しと排煙設備の設置に関する別棟扱いの基準見直しが盛り込まれた。

 現行規定では、アトリウムの床面積の合計が1500m2、スプリンクラーなどを設ける場合は3000m2を超えると、区画の設置が必要になる。検討案では、一定の基準を満たす廊下などを、面積区画を構成する特定防火設備と見なし、アトリウムを区画しなくてよいとした〔図1〕。居室と可燃物を置かないアトリウム空間との間にある廊下などについては、緩衝帯として一定幅が確保されていることなどを条件としている。

〔図1〕旧38条認定建物の改修が救われる
アトリウム空間に関する規制緩和のイメージ。2000年に性能規定化の導入で旧38条が廃止されたことで、旧38条認定を受けた大規模建築物のアトリウムなどで改修が困難になっていた(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 また、もう1つの緩和によって、部分的な改修がしやすくなる。例えばアトリウムでつながるツインタワーで、アトリウム空間が煙をためたり排出したりでき、建物全体に煙が拡大しないと示せれば、2棟の排煙設備を別々に計画できるという案だ。

 00年の建基法改正で旧38条が削除され、アトリウム空間を設けた高層ビルなどの多くが既存不適格になった。現行法に適合する形で改修すると、アトリウムの周囲に防火区画を新設するなど大がかりな工事が必要になる。防火設計に詳しい明野設備研究所の中島秀男代表は、「今回の施行令改正によって、旧38条認定建物の一部は改修しやすくなるだろう」と予測する〔写真1〕。

〔写真1〕火災安全の思想をもって設計を
防火設計に詳しい明野設備研究所の中島秀男代表。今回の改正のポイントと実務への影響を聞いた(写真:日経アーキテクチュア)
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