自治体のデジタル化はどこまで進んでおり、何が課題なのか。都道府県CIOフォーラムが第16回年次総会を2018年8月21~22日、富山市で開催した。初日は、セキュリティ強じん化後の働き方改革とテレワーク・モバイルワークの推進方法や課題を議論。2日目午前は都道府県に策定が義務付けられた官民データ活用推進計画の策定方法と重点施策について、午後は都道府県システムを将来的に共同化・クラウド化する可能性について意見を交換した。

 2日目午前は、都道府県に2020年度末までの策定が義務づけられた「官民データ活用推進計画」について、策定の体制や調整プロセスの課題を議論した。すでに北海道、静岡県、滋賀県、徳島県は、2018年3月に計画を策定・公表している。

 内閣官房IT総合戦略室の浦上哲朗企画官の講演に対し、山梨県情報政策課の横田富雄情報システム専門監は「民間データとの連携や取り込みは計画の中で勘案されているか、連携の指針はあるか」と質問。浦上氏は「まずは官から、という感じ。民のデータを標準化して連携させる方法が課題だと思う」と答えた。

 愛媛県の井上氏は、KPI注9)について「各省庁の手引きや施策集には出てこないが、目標数値はあるのか」と尋ねた。浦上氏は「KPIは、宣言で終わらせずに施策を実現させる知恵。ただし、適切な値は個別案件で異なる」と説明した。計画策定済みの滋賀県県民生活部の宇野良彦IT統括監は、「KPIは基本計画ではなく実施計画で事業進捗を測る指標として設けた。5つの重点戦略を包含するKPIの設定が難しかったのが理由」と報告した。

宇野 良彦氏
滋賀県 県民生活部 IT統括監

専門家を交えた委員会は必要か

 ディスカッションの冒頭、都道府県CIOフォーラム会長で司会を務める富山県経営管理部の半田嘉正情報企画監が、事前アンケートの結果を説明した。計画を策定する庁内横断体制における情報政策部門の役割は、37団体が「主導的役割」と回答。産学の専門家を含む委員会などは、「組織済み」「準備中」が18団体、「検討中」が4団体だった。

 委員会でのやり取りについて滋賀県の宇野氏は、「計画自体は評価されたが、事業者や県民にどう落とし込むのかを繰り返し聞かれた」と振り返った。和歌山県企画部企画政策局の天野宏情報政策課長は、有識者を交えた委員会の設置について「義務化には疑問がある。内部調整や意見をまとめるのに時間がかかった結果、利活用が遅れたら意味がない」との見方を示した。委員会を作らずに聞き取り方式で意見を集約した静岡県は、「集まって意見を聞くより、担当者が訪問した方が内容の濃い話ができると考えた」(ICT推進局ICT政策課の手島真二班長)と理由を説明した。

手島 真二氏
静岡県 経営管理部 ICT推進局 ICT政策課 班長

 長野県は、国、市町村、大学、事業者を巻き込んだ検討準備会の設置を計画している。「地域で発生したデータを事業者に独占させず、地域で吸い上げて流通させる仕掛けに結び付けたい」(企画振興部の坂口秀嗣情報化推進担当部長)考えだ。

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