ネット配信大手による「米アップル(Apple)離れ」が広がっている。スウェーデンのスポティファイ(Spotify)に続き、米ネットフリックス(Netflix)もネガティブな反応を示すようになった。ネットフリックスは既にアップルの課金プラットフォームを通じた料金徴収をやめたが、2019年4月に入って「AirPlay」のサポートも停止した。

 AirPlayは、iPhoneやiPad、MacなどのデバイスからWi-Fi経由でテレビやスピーカーに映像や音楽を転送し、再生する技術。2019年1月には、韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクス、ソニー、米ビジオ(VIZIO)が「AirPlay 2」に対応したスマートテレビを相次ぎ発表した。ネットフリックスは、ようやく広がり始めたAirPlayのサポートを急きょ打ち切った。

スポティファイは欧州委員会に提訴

 米メディアのザ・バージ(The Verge)によると、ネットフリックスはAirPlayのサポートを停止した理由について「視聴品質を保てなくなるため」と回答している。アップルがAirPlay 2の対応デバイスを広げた結果、ネットフリックスがユーザーのテレビの種類を識別できなくなる点が問題となっている。

 AirPlay 2では接続相手のデバイスや再生時の解像度を、ネットフリックスのアプリ側から確認できない。最高の品質でサービスを提供できているか分からないため、サポートを打ち切ったという。だが、今回の動きはアップルとネットフリックスの関係が冷え込んでいることが原因と見る向きが多い。

 前述の通り、ネットフリックスは2018年11月以降、App Storeを介した月額課金の新規受付をやめた。この背景にはアップルが課している決済手数料がある。アップルは通常、アプリ販売やアプリ内課金、サブスクリプションに対して、売上高の30%を手数料として徴収している。この手数料を巡っては以前から議論が分かれていた。

 個人の開発者の場合、アプリを配信・課金する仕組みを自ら構築・運用する手間と費用を考えれば、30%の手数料は必ずしも高いとは言えない。App Storeが登場する以前は、アプリを流通させること自体が難しかったことを考えればなおさらだ。

 一方、スポティファイやネットフリックスのようなネット配信大手にとっては15~30%の手数料が大きな負担となる。これらの企業はコンテンツ配信数に応じて権利者にも収益を分配している。スポティファイはApp Storeの課金から逃れるだけでなく、2019年3月にはアップルがApp Storeで独占的な地位を乱用していると欧州委員会に訴えた。

アプリストアの収益で大きくリード

 もっとも、App Storeが独占的な地位かと言えば疑問符が付く。アップルは世界のスマートフォン市場で約15%のシェアを握る。日本や米国、英国ではiPhoneの比率が高いが、他の国ではそれほどシェアが高くない。

 片や、米グーグル(Google)のAndroidのシェアは約85%である。アップルは2年目以降の継続サブスクリプションを15%引きとする措置も取っており、「スポティファイはただ乗りをしようとしている」とのアップルの反論にはうなずけるものがある。