2008年にゼロから生まれた産業といえるiPhone向けアプリ開発の面ではどうか。日本を拠点とする開発者の数は70万人を超え、57万6000人の雇用を生み出した。日本の開発者がApp Storeを通じて2008年以降に全世界向けの販売で上げた収益は240億ドル(約2兆6600億円)に達した。

 日本の開発者では、80歳からiPhoneアプリの開発を始めた若宮正子氏が2017年の開発者会議「WWDC 2017」に参加して世界の注目を集めた。2008年から50本以上の辞書アプリをリリースした物書堂は、在宅勤務する4人のチームでこれまで2億5000万~3億5000万円超の年間収益を上げてきたという。

日本向けの雇用創出リポート
(出所:アップル)
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 このほか、同社の紹介ページでは、出産後の再就職に苦労して立ち上げた会社がアプリで成功した事例なども取り上げている。働き方改革が叫ばれる中、同社がアプリプラットフォームを通じて新しい働き方に貢献していることをアピールする。

 アップルは、他の巨大プラットフォーマーと同質で語られることに異を唱える。プライバシー問題もしかり。派手な製品広告と違って地道な作業ではあるが、今後も継続して同社ならではのユニークな情報が明らかになっていくだろう。

松村 太郎(まつむら たろう)
ジャーナリスト
松村 太郎(まつむら たろう) ジャーナリスト・著者。1980年東京生まれ。慶応義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。キャスタリア取締役研究責任者として、教育とテクノロジーによる社会問題の解決に取り組み、プログラミング必修の通信制高校、コードアカデミー高等学校の設立などに携わる。近著は、『LinkedInスタートブック』(日経BP社)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP社)など。