Apple Watchは米アップル(Apple)の最も成功している製品と言える。直近でも50%増の成長を継続しており、2019年の需要は3000万台以上に達するとみられている。

 そのApple Watchも、スマートウオッチとしては最も優れた製品かもしれないが、アクティビティートラッカーとしては他社に劣る部分がいくつかある。

 中でも最も期待され、かつ解決の難しそうなのが、睡眠の計測だ。手首や腰などに装着するアクティビティートラッカーのうち、ディスプレーを持たないタイプの製品は、初期から睡眠の計測に対応していた。

 Apple Watchは登場から4年がたとうとしているが、睡眠の計測には対応できていない。そんな中、米ブルームバーグ(Bloomberg)は2019年2月、米アップルが2020年までにApple Watchを睡眠の計測に対応させると報じた。

「1日=18時間」のバッテリー

 厳密には、現状のApple Watchでもサードパーティーのアプリを使えば睡眠の計測自体は可能だ。高性能の心拍計を組み合わせることで、睡眠の様子をより細かく記録、確認できる。

 問題はバッテリーだ。アップルはApple Watchのバッテリーが1日持つとうたっているが、その1日とは18時間を意味する。これは人間が起きて活動している時間とほぼ同じであり、人間が寝ている間は充電のためApple Watchを腕から外す必要がある。つまり、睡眠を計測する余裕が無いのだ。

 実際、筆者が使っているApple Watch Series 4の44mmモデルは夜に着けたまま寝ると、朝にはバッテリーの残量が10~20%程度になってしまう。出かけるまでに充電しなければならず、早起きの人であれば2~3時間充電できるかもしれないが、そういう人ばかりではないだろう。

 睡眠の計測機能を実装できない、または実装できても使い物にならない理由は、Apple Watchの18時間というバッテリー持続時間に起因している。この問題の解決は決して容易ではない。

 スマートフォンではきょう体のサイズを大きくすることにより、バッテリー持続時間と画面サイズの拡大という両方のニーズにうまく対応できた。それでも6.5インチ前後が限界となりつつあったが、最近では折り畳み型も登場。7インチ以上のディスプレーと4000mAh級のバッテリーを搭載するようになった。

 しかし、スマートウオッチではこうもいかない。確かに最近の腕時計はケースサイズが48mmや50mmのモデルが珍しくなく、Apple Watchでも44mmのモデルが登場した。とは言え、スマートフォンほど劇的なバッテリー問題の改善は期待できない。

 となると、ディスプレーに加え、搭載チップやソフトも含めた設計の見直しで消費電力の削減を推し進めるしかない。

2018年9月に画面サイズの拡大を伴うモデルチェンジを行った「Apple Watch Series 4」
(撮影:松村 太郎、以下同じ)
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 これをApple Watchに当てはめると、どうなるか。まずディスプレーは既に低消費電力の有機ELを採用しており、さらに消費電力の少ないマイクロLEDなどに切り替えなければならない。もちろん、それには相応の時間がかかる。

 あとは、搭載チップとソフトのチューニングである。アップルはiPhoneなどの製品でも自社設計のチップとソフトを採用することにより、少ないバッテリー容量で長い持続時間を実現してきた。とは言え、相当なブレークスルーが無ければ、現行の18時間という持続時間を3日や1週間へと延ばすのは難しいだろう。