米アップル(Apple)の2018年10~12月期決算はiPhoneの不調ぶりを浮き彫りにする内容だった。分野別の売上高を見ると、iPhoneが前年同期比15%減に対し、Macが同9%増、iPadが同17%増、ウエアラブル・ホーム部門が同33%増、サービス部門が同19%増。iPhone以外は軒並み好調だった。

 アップルは2017年、iPhone 8シリーズに加え、999ドルからのiPhone Xを投入。2018年もiPhone XSで999ドルを維持しつつ、画面サイズを大きくした1099ドルからのiPhone XS Maxと、iPhone 8シリーズを引き継いだ749ドルからのiPhone XRも用意した。

 iPhoneの価格はそれまで長らく649ドルからとなっていた。平均販売価格は600ドル前後だったが、iPhoneの大画面化やiPhone X世代の投入により、2018年7~9月期には793ドルまで上昇した。この高付加価値路線が失速して2018年10~12月期に現れた格好だ。アップルは今後、iPhone戦略をどう見直してくるだろうか。

SEの後継に期待は高まるが……

 最も注目されるのは、iPhone SEの後継モデルだ。2016年3月に登場したiPhone SEは、iPhone 5sのデザインにiPhone 6sのプロセッサーとカメラを内蔵。大画面化が進むiPhoneの中で、4インチと最もコンパクトな端末である。

 しかも価格は300ドル台の安さだ。アップルが現在取り扱うラインアップでは4.7インチのiPhone 7が最安で、449ドルからとなっている。iPhone SEは日本でも小型のスマートフォンを好むユーザーに支持され、格安SIMとの組み合わせで人気を集めた。

 米ニュースサイト「CNET」は2019年2月、「Here's why we need an iPhone SE 2 right now」と題した記事で「iPhone SE 2(後継モデルの仮称)」の必要性を説いた。

 具体的には、iPhoneが長らく維持してきた過去のフォームファクターであるイヤホン端子や指紋センサー、小さな本体、手ごろな価格などを挙げ、iPhone再浮上の鍵と位置付けた。最近のiPhoneが搭載する防水やワイヤレス充電などの機能も追加し、モダンなモデルへの進化を期待するとした。

 ただ、どうしても後ろ向きで揺り戻しの論調となっており、アップルらしからぬ方向性に感じる。アップルが上位モデルの存在価値を脅かすような施策を安易に取るとは考えにくい。iPhone SEと同じ価格でFace IDや全画面液晶を搭載したモデルの登場は、期待できないのではないか。

iPadでは見事に巻き返しに成功

 iPhoneの今後の方向性を探る上で、iPadもヒントになる。iPhone発売から3年遅れで登場したiPadは先にピークを迎え、2014年から3年余りは販売台数が前年同期を下回る状態が続いた。

 転機となったのは、2017年3月に発売した9.7インチのiPad(第5世代)である。当時は上位モデルのiPad Proも投入済みだったが、企業や教育市場ではiPad Air 2の方がニーズが高く、品薄状態に陥っていた。そこでアップルは、1世代古いボディーデザインでプロセッサーを強化した低価格のiPad(第5世代)を用意。2018年3月にはプロセッサーをさらに強化し、Apple Pencilにも対応したiPad(第6世代)も投入した。