総務省が検討を進めるインターネット上の個人データを扱う企業を対象とした規制が、海外で注目されている。

 総務省の有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」は2019年1月、プラットフォーマーと呼ばれる海外大手IT企業にも「通信の秘密」の適用を検討する案を公表した。海外大手IT企業から日本の利用者を保護する体制を強化していく構えだ。

 現行の電気通信事業法は、国外に拠点を置き、国内に電気通信設備を持たずにサービスを提供する事業者は対象外。こうした事業者のサービスで個人データの不適正な取り扱いがあっても、日本の利用者は保護されない。利用者の個人データが本人の同意なく第三者に渡ることを、海外企業に対しても規制していくことになる。

プライバシー保護に力を入れるアップル

 日本で多くの利用者を抱えているにもかかわらず電気通信事業法の対象外となっている事業者として、米グーグル(Google)や米アップル(Apple)、米フェイスブック(Facebook)、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)が挙げられる。いわゆる「GAFA」である。

 グーグルやフェイスブックは利用者の個人データを活用した広告ビジネスを積極的に展開する。2018年には、個人データが不正利用されたり、契約先のパートナー企業によって閲覧されていたりしたことが明らかとなった。

 当然、アップルもターゲットとなるが、恐らく同社は今回の規制強化を歓迎しているだろう。同社はこれまで「利用者の個人データでビジネスはしていない」と公言し、他のシリコンバレー企業との違いを強調してきた。ティム・クックCEO(最高経営責任者)は米国でプライバシー規制の導入も訴えている。

ティム・クックCEOは、教育をテーマにした2018年3月のイベントでも「利用者の個人データでビジネスはしていない」と強調していた
(撮影:松村 太郎)
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 アップルは世界各国のプライバシー規制に柔軟に対応できるようにしており、欧州連合(EU)で2018年5月に施行された「一般データ保護規則(GDPR)」にも素早く対応した。このため、日本で通信の秘密が適用されても、これまでのサービスや主張が変わることはないだろう。むしろ、同社のデバイスが個人データの最も安全な保管場所となっているとアピールすることは想像に難くない。