ビジネスモデルの転換が必要

 iPhoneは3G/4G時代の象徴的なスマートフォンだった。しかし、販売台数が右肩上がりで伸び続ける時代は終わりつつあり、2019年からは5Gへの移行も始まる。通信業界はさらなる再編が予想され、米国ではグーグル(Google)などこれまで通信サービスを手掛けてこなかった企業の動きにも注目が集まっている。

 こうした状況を受け、アップルがiPhoneのビジネスモデルを転換するにはちょうどよいタイミングかもしれない。その鍵となるのは、サブスクリプション(購読)と電話以外のエコシステムだ。

 アップルは米国などで「iPhone Upgrade Program」と呼ぶ端末の買い替えプログラムを展開している。iPhoneの端末代金を24回に分けて毎月支払いつつ、12回分の支払いが終了した時点で端末の下取りを条件に最新モデルへアップグレードできるものだ。

 この仕組みは顧客に分割払いのローンを組んでもらい、12カ月経過後にアップルが残債を支払うことで実現している。端末の修理費用を大幅に軽減できる「AppleCare+」が付帯するなど、iPhoneを継続して使うユーザーには非常に有利な条件となっている。

 現在は一部の国で、既存の金融サービスを同社ブランドで展開しているにすぎないが、デバイスとアプリを一体化したサブスクリプションサービスのような形で進化させる方法が考えられる。

 サブスクリプションユーザーには毎年、新型iPhoneへのアップグレードを提供し、回収した端末はアップルが新興国で再販する。さらには「Apple Watch」「AirPods」「Apple TV」「HomePod」といったウエアラブル/ホームデバイスの組み合わせにより、エコシステムをより強固にできる。今後はこれまでの成長モードから持続モードに切り替えていくことになる。

 もちろん、他にもさまざまなシナリオが考えられるが、アップルがこれまでのiPhoneのビジネスモデルから転換を図ろうとしているのは確かである。

松村 太郎(まつむら たろう)
ジャーナリスト
松村 太郎(まつむら たろう) ジャーナリスト・著者。1980年東京生まれ。慶応義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。キャスタリア取締役研究責任者として、教育とテクノロジーによる社会問題の解決に取り組み、プログラミング必修の通信制高校、コードアカデミー高等学校の設立などに携わる。近著に『LinkedInスタートブック』(日経BP社)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP社)など。