デジタルトランスフォーメーション(DX)のような難しいプロジェクトは、人材を育成する格好の場。ただし、やり方を間違えるとエース級の人材さえ潰してしまう。そんなリスクの回避策とは。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)のような変革プロジェクトは、メンバーとして参加するエース級人材を次のリーダーとして育成する格好の場になる。だが、そうできずに、リーダー候補であるエースを潰してしまうプロジェクトが少なくない。例えば、上から目線での指示ばかりが得意な管理職がプロジェクトリーダーを務め、普段の仕事と同じ感覚で管理するというケースだ。ルーティンワークの経験が長い管理職に多い。

 ルーティンワークの管理職とプロジェクトのリーダーでは、求められる役割や取るべき言動が全く異なる。ルーティンワークで優秀な管理職ほど、実はプロジェクトの仕事とは相性が悪い。ルーティンワークの管理職は「仕事には正解があって、それをきちん遂行することが重要だ」と考えて、部下を管理しようとする。ルーティンワークには確立された必勝法があるので、このやり方で成果が出るし部下も育つ。

 一方、変革プロジェクトは「次に何をやったらよいか分からない、新しい取り組み」である。AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)といった新技術を自社のビジネスで活用し、ビジネスモデルや組織を変えていこうという取り組みは、誰にとってもやったことのないチャレンジになる。何が事業リスクとなるのか、狙った通りの売り上げになるのかなどは事前に見通せない。当然ながら、管理職にも土地勘がないはずだ。

 ところが、ルーティンワークに慣れた管理職は、こうした状況でも上から目線で管理しようとする。上司として格好いいことを言わないといけないと考えているのか、「売り上げが10億円に届かないなら、うちでやる価値はないよね」「もっとコストダウンしなきゃ」「事業部長がいい顔しないんじゃないかな」「今あるチャネルと競合するから営業がうるさいな」といった具合で、具体性に欠けた指示や感想を言う。

管理したがるリーダー
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 会社を変えようともがいているエースの立場からすると、腹が立つし、やる気が萎える言動だ。「上司が部下のやることを管理する」「上から目線で良しあしを判断する」という関係性は、正解や必勝法のない変革プロジェクトには全くフィットしない。主体的に考え、行動しようとするエースの意欲を奪う。リーダー候補のエースがリーダーシップを身に付けないまま、プロジェクトが終わってしまう。

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