この連載は企業に価値をもたらすデジタル変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)を組織としてどのように実践すべきかを、事例を交えつつ説明している。デジタル変革はAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)をはじめとするデジタル技術を活用して、新たな事業やサービスの創出、顧客満足度の向上などを狙う取り組みを指す。前回から製品やサービスを開発する「価値創発サイクル」の進め方や勘所を説明している。

 価値創発サイクルの例として、デザイン思考(デザインシンキング)を提唱したことで知られるデザインコンサルティング会社の米IDEOを取り上げた。

米IDEOのWebサイト
出所:IDEO
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 今回は前回に続き、IDEOにおけるプロジェクトの進め方を紹介するとともに、価値創発サイクルで重要なデータ分析プロセスの「CRISP-DM」について説明する。

ブレストとプロトタイピングを繰り返す

 IDEOにおける全ての仕事はプロジェクトごとに編成したチーム単位で進め、プロジェクトが終わるとチームを解散させる。社員はリーダーとして1つの大規模プロジェクトに取り組むか、協力者として最大3~4件のプロジェクトに従事する。プロジェクトリーダーには、参加するプロジェクトに対して熱意を持っている人を選ぶ。

 同社はプロジェクトを開始する前に、顧客に対して期間や費用の見積もりを提示する。ただし、それらを正確に予測するのは不可能であるとともに、プロジェクトを続けていくうちに一層の革新の機会に発展する可能性が出てくる場合もある。その際は顧客の理解を得て計画を拡張する。

 価値創発を担うIDEOのプロジェクトにおいて、活動の中核を成すのはブレインストーミング(ブレスト)とプロトタイピングである。この2つを組み合わせて新たな行動やアイデアの風を巻き起こし、優れたアイデアをわずか数日でプロトタイプへと発展させる。

 ブレストの原則は次の通り。

  • 主題に集中し続ける
  • 突拍子もないアイデアを奨励する
  • 流れを中断しないように判断を保留する
  • 他人のアイデアを基に前進する
  • 1人ずつ順番に話す。内気な人にも発言させる
  • アイデアの量を追求する
  • アイデアを視覚化し理解しやすくする
  • プロジェクト以外の人を招待したブレストを開催する

 プロトタイプの作成方法は以下のようになる。

  • 初期段階では精緻なプロトタイプを作らない。手に入る材料で簡単に作る
  • 大まかに、迅速に、正確に(Rough、Rapid、Right)特定の側面(部分)に焦点を当てる
  • 間に合わせのプロトタイプによって反復の回数を増やす
  • プロトタイプはあくまでたたき台と捉える。多くの失敗から学ぶ
  • 初期段階で可能な限り多くのアイデアを出し、絞り込んでい
  • 停滞が見られた場合、チームで丸1日をかけて創造的コンセプトを生み出す作業に集中する(ディープ・ダイブ・アプローチ)

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