観光や地域再生に生かそうと、改修・転用で歴史を体感できる施設が全国各地で続々誕生している。現在、設計・施工が進行中のものも含め、注目のプロジェクトをみていこう。

HISTERRACE奈良(旧奈良監獄)
日本初の「監獄ホテル」

 山下啓次郎の設計で1908年に竣工した旧奈良監獄。国の重要文化財であるこの監獄を、コンセッション(公共施設等運営権)方式を活用して保存・活用する計画。国(法務省)が所有したまま、特別目的会社(SPC)の旧奈良監獄保存活用に運営を委託する。国内を中心にホテル運営などを手掛けるソラーレ ホテルズ アンド リゾーツを代表とし、清水建設が参画している。運営権は2050年までで、延長オプションを設けた。対価は6000万円。

 計画では、約10万6000m2におよぶ敷地全体を1つのまちのように構成する。かつての監獄棟を改修してホテルとするほか、文化財を望めるホテル棟を新設。カフェや工房などを併設する「無印良品」ブランドのホステルや史料館、温浴施設、商業施設などを複合し、多様なコンテンツを用意する。

(資料:法務省)
[画像のクリックで拡大表示]
(資料:法務省)
[画像のクリックで拡大表示]
(資料:法務省)
[画像のクリックで拡大表示]
  1. 奈良市般若寺町18
  2. 法務省
  3. 旧奈良監獄保存活用 (清水建設)
  4. 旧奈良監獄保存活用 (清水建設)
  5. 21年春
  6. 21年春(19年10月に史料館開業)

  7. ※凡例は文末

ザ・ゲート立誠京都(元立誠小学校跡地)
築90年の小学校校舎をホテルに

 国の学校制度に先立つ学区制小学校「番組小学校」の1つとして1869年に開校した元京都市立立誠小学校の跡地を活用する(番組とは当時の住民自治組織の単位)。民間事業者が京都市から定期借地し、市指定施設を含む民間提案施設を建設・運営するPPP(公民連携)事業だ。市は公募型プロポーザルでヒューリックを代表とするグループを選んだ。定期借地権は60年間で、年間賃料は約1億5600万円だ。

 築90年の校舎の大部分は耐震補強などを実施して保存・再生。西側の一部を解体して新築棟を建て、ヒューリック直営の約200室規模のホテルなどとする。そのほか、自治会活動スペースや図書館、商業施設を複合。小学校時のグラウンドはオープンスペースとして整備し、一般開放。地域の大型イベントなどを開催できるようにする。

(資料:ヒューリック)
[画像のクリックで拡大表示]
(資料:ヒューリック)
[画像のクリックで拡大表示]
  1. 京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310-2ほか
  2. ヒューリック
  3. 竹中工務店
  4. 竹中工務店・古瀬組JV
  5. 20年4月
  6. 20年6月
  7. RC造(既存)、S造、一部RC造(増築部)
  8. 地下1階・地上8階
  9. 1万4981m2
    ※凡例は文末

ミライザ大阪城(旧陸軍第四師団司令部庁舎)
旧陸軍庁舎を商業施設に

 1931年に大阪城天守閣の南側で陸軍第四師団司令部庁舎として建設され、2001年に市立博物館としての役目を終えて閉鎖されていた。この建物を複合施設として活用。17年10月に開業した。「大阪都市魅力創造戦略2020」で重点エリアに据える大阪城公園のパークマネジメント事業の1つだ。

 耐震補強後に外壁タイルなど損傷部分のみ修復し復原した。内装は、特徴的な意匠を損なわないよう、設備配管や配線ルートに配慮。照明器具やエントランス内部のドアなどは竣工当時の写真を基にデザインした。屋上はルーフトップバーとし、大阪の街並みや大阪城天守閣を望める空間とした。総事業費は約18億円。

(写真:大和ハウス工業)
[画像のクリックで拡大表示]
(写真:大和ハウス工業)
[画像のクリックで拡大表示]
  1. 大阪市中央区大阪城1-1
  2. 大阪城パークマネジメント
  3. 大和ハウス工業
  4. 大和ハウス工業
  5. 17年9月
  6. 17年10月
  7. RC造
  8. 地下1階・地上4階
  9. 約7000m2
    ※凡例は文末

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら