歌舞伎発祥の地に立つ京都の南座が2018年11月、改修工事を終え、約2年9カ月ぶりに開場した。1929年完成の現在の建物を耐震補強し、劇場設備も一新。歴史的な意匠を残したまま実施した工事では、最新の測量技術も駆使した。工事の内容を振り返る。

 2018年4月、養生シートに包まれた建物内部では、すでに耐震補強などの躯体関連工事が終わり、18年11月開場に向けて慌ただしく内装工事が始まっていた〔写真1〕。「これまでもそうだったように、京都の年中行事である年末の吉例顔見世興行で開場するのがふさわしい」。南座の藤田孝支配人は、そう強調する。

〔写真1〕外観はそのまま保存
改修工事中の南座の様子。人通りの絶えない四条通に面した北側の正面外観。養生シートの内側には、保存する外観が保護されている。2018年4月に撮影(写真:生田 将人)
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 京都市東山区の祇園地区で400年の歴史を重ねてきた南座は、1906年から松竹が所有し、運営している。その松竹が、現在の建物を新築した29年も、内外装や設備を大改修した91年も、大きな普請のあとは年末の顔見世興行で開場してきた。今回の改修も、そこに照準を合わせていた。

 建物の規模は、地下1階・地上4階。延べ面積は約6400m2。構造は鉄筋コンクリート造を主体とし、4層吹き抜けの客席空間まわりは鉄骨鉄筋コンクリート(RC)造、屋根は鉄骨(S)造だ。重層する大きな破風に、櫓(やぐら)を冠した外観や、趣向を凝らした内装が特徴で、国の登録有形文化財の登録と、京都市の歴史的意匠建造物の指定を受けている〔写真2〕。

〔写真2〕90年間の意匠を引き継ぐ
左上は、1929年に完成してまもない頃の全景。右上は、玄関まわりなどの意匠を一新した1991年の改修後。下の写真は、2015年末の吉例顔見世興行時の外観。出演する役者の名前を書いた「まねき看板」で飾る外観は、18年11月の再開場時にも見られる予定だ(写真:3点とも松竹)
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