築80年超の京都市美術館本館の改修工事が進んでいる。帝冠様式の近代建築が持つ魅力を引き立てる大胆な改修と同時に、運営の幅を広げてより多くの人を呼び込み、稼げる公立美術館に生まれ変わる。

 年間500万人以上が訪れる京都市左京区の岡崎地区で、大型の近代建築が仮囲いの塀に囲まれていた。再整備のため、2017年4月から3年間の休館に入った京都市美術館だ。

 18年4月、敷地内では西側の前庭をスロープ状に掘り下げる工事が始まっていた。築80年超の本館の足元を地下1階の深さまで掘り、エントランスを新設。そこから地上レベルの前面道路までの空間を、緩やかなスロープ状の広場にする〔写真1、2、図1〕。スロープ広場に面した建物の地階には、ガラス張りのカフェやショップも設けられる〔図2〕。

〔写真1〕保存する玄関前を掘る
以前のエントランスだった西側玄関の前庭全体を掘り下げ、地下に新しいエントランスをつくる工事が進む。既存の建物は保存する。2018年4月に撮影(写真:松浦 隆幸)
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〔写真2〕帝冠様式の意匠を保存
改修前の玄関まわり。戦前の大型の庁舎建築などに見られる帝冠様式の意匠が特徴。改修後も外観は変わらない(写真:京都市)
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〔図1〕地下に下りるスロープ広場に
完成予想パース。地下1階に新設するエントランスに向けて下るスロープ状の広場をつくる。外壁は補修し、屋根の銅板はふき替える(資料:京都市)
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〔図2〕にぎわいを呼ぶ広場
改修後のスロープ広場のイメージ。地上の道路から地下のエントランスに向けて下っていく。広場に面した地下1階部分にガラス張りのカフェやショップを設ける。広場はイベントなどにも利用してにぎわいを呼ぶ。美術館の敷地は、岡崎公園内にあるので常に開放される(資料:京都市)
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 改修工事は18年1月に始まった。本館を保存・活用しつつ、美術館の機能を強化する。外観をそのまま残す一方、内部には大きく手を加える。主な改修内容は、耐震補強、バリアフリー化、設備の一新、展示空間と動線の刷新などだ。同時に、アプローチとなる前庭を、スロープ広場につくり直す。さらに、北東側にある1971年完成の収蔵庫(設計:川崎清+環境・建築研究所)を建て替える。

 「本館は、実業家や市民の寄付を得て建てられ、親しまれてきた。これからも長く愛されるように、美術館としての魅力を増し、一定の収益を上げられる施設にする」。京都市美術館総務課の今冨僚二担当課長は、再整備の狙いをそう説明する。

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