東日本大震災から丸8年。津波が集落を飲み込み、壊滅的な被害をもたらした巨大地震は、戦後の日本において最も大きな自然災害となった。「その10倍の被害」と言われて、想像がつくだろうか。今後30年間のうちに70~80%の確率で発生するとされている南海トラフ地震は、常識外れの被害をもたらす恐れがあると内閣府の中央防災会議が警告している。
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 南海トラフ地震の発生で、極めて甚大な被害が想定されるのが静岡県だ。中央防災会議の試算によると、県内の死者数は最悪のケースで10万9000人。最大で高さ33mの津波が、最短で2分のうちに到達するとされている。

 未曽有の大災害にどう備えるか。甚大な被害が予想されるからこそ、静岡県は日本一防災意識が高い自治体と呼ばれるほどに、全国の自治体に先駆けた取り組みを進めてきた。その1つが、災害発生時に備えた3次元地理空間データの「備蓄」だ。

ドローンやレーザースキャナーで被災直後の3次元点群データを取得。被災前のデータとの差分から崩落土量を計算する。任意の場所で断面図を切り出すこともできる(資料:静岡県)
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 取り組みの核となるのが、県内の道路や地形などの3次元点群データを蓄積している「Shizuoka Point Cloud DB」と呼ぶデータベースシステム。県が2016年3月から試験的に運用を始め、これまでにICT(情報通信技術)活用工事の納品データや、路面調査業務の一環で取得したMMS(モービル・マッピング・システム)による計測データなどを登録してきた。

 被災前の現場の状況は、災害によって生じた変化を捉えるうえで重要な情報となる。「土砂の崩壊などがあった場所の被災前のデータがあれば、被災後の計測データと重ね合わせることで、速やかに被害の状況を把握できる」。県交通基盤部建設技術企画課の杉本直也建設ICT推進班長は、蓄積したデータの用途をこのように解説する。

静岡県の3次元点群データベース「Shizuoka Point Cloud DB」。道路や地形の3次元点群データが登録されている地点を地図上で示し、選択してダウンロードできる。データのプレビュー機能などは今後、実装していく予定(資料:静岡県)
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