講演I
「トヨタ自動車が語る、安全への経営層の積極的関与の成果と、協働ロボット活用のための協調安全『Safety2.0』への期待」

星野晴康
トヨタ自動車安全健康推進部安全衛生室主幹

「役員には安全に関心を持ってもらうところから」と語る、トヨタ自動車安全健康推進部安全衛生室主幹の星野晴康氏
(写真:セーフティグローバル推進機構)
[画像のクリックで拡大表示]

 最初に、トヨタ自動車の安全への取り組みにおいて、当社のトップマネジメントがどのようにその役割を果たしているかを紹介しよう。その前提としてまず、図1を見てほしい。これは、当社における全災害の発生件数の推移である。ここで言う災害とは、医師による治療を必要とするもの。1960年代後半から1970年代前半にかけて、2007年当時の5倍を超える災害が発生していた。その後、さまざまな安全方策を打ち出し、全災害発生件数は1990年代前半にかけて減少。しかしそこから2000年代半ばまでは、下げ止まりの状態が続いた。

図1 トヨタ自動車の全災害件数
最も多いときには2007年の5倍以上。1990年代前半以降は、足踏み状態が続いた。(資料:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうしたトヨタ自動車の安全成績、具体的には1997~2007年にかけての平均休業災害度数率を自動車工業会の中の14社と比較すると、12位と決して芳しくなかった。そこで、安全のコンサルティング会社に依頼し、M工場の全従業員を対象にした安全意識調査・インタビューと、生産系役員に対するインタビューを行った。すると、「安全優先は建前だ」「『災害をゼロにできない』と思っているリーダーが多くを押し付ける」「仲間の不安全行為を見逃す」「安全を自分のことと考え、計画・実行する仕組みができていない」などの実態が浮かび上がってきたのである。

*休業災害度数率 100万延べ実労働時間当たりの休業災害数。休業災害の発生頻度を表している。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら