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R&Dセンター
供給開始に向け万全を期す

 HondaJetに搭載されたさまざまな新技術の開発や、米連邦航空局(FAA)の型式認定の取得に向けた実験など、プロジェクト中枢機能を担うのが、R&Dセンターだ。まずは、コンセプト実証機や量産型試験機の組立機能も持つ同センターの主要設備を見ていこう。

部品強度の積み上げ

 HondaJetの胴体には炭素繊維強化樹脂(CFRP)を採用している。飛行機の構造材料として実績のあるアルミニウム合金と違って、設計許容値などに関連するデータはまだ十分とはいえず、強度を保証するための試験が重要となる。この試験を担当するのが、構造試験室だ(図1)。

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図1●構造試験中の量産型試験機2号機の機体
飛行時に機体の各部で発生する力を、71本の油圧シリンダを動かすことで再現する。静的な強度だけでなく、繰り返し荷重による疲労強度も確認する(a)。機体表面に取り付けた歪ゲージのデータを取得するだけでなく、モニターに映る機体の様子を目視で確認しながら試験を進める(b)。

 構造試験室では、胴体や主翼などの主要な構造部材を組み立てた量産型試験機*1を用いて試験する。量産型試験機故、各部材の形状や製造方法などは当然、量産機と同じ条件である。

 この量産型試験機で構造試験をする場合、鉄骨の枠組みで機体を宙に浮いたような状態で支持し、機体の各部に71本の油圧シリンダを利用して力を加える。これらの油圧シリンダはコンピュータによる制御で同時に動かせ、飛行時に各部で発生するあらゆる力を再現する*2

*1 量産型試験機2号機は、構造試験用に作製した。2011年には制限荷重試験が、2012年初頭には終極荷重試験が終了している。
*2 構造試験では、DLL(Design Limited Load:設計限界荷重)の150%まで荷重を加える。

 このときの機体の変形については、機体表面に貼り付けた5000チャネルの3軸歪ゲージで計測し、静的強度と繰り返し荷重を受けたときの疲労強度を取得する。機体の様子をモニターに映し出して目視による確認を併せて実施している。

 さらに、圧縮機から胴体内に空気を送り込むことで与圧を掛け、気圧が低い上空と同じ圧力差を作り出す。その状態で機体全体を曲げるように力を加えるといった試験も実施している。

 この構造試験室では、量産型試験機の機体だけではなく、部品単体(コンポーネント)の試験も扱う。例えばCFRP製部品の場合には、加熱したり、加湿したりした後に荷重を加える試験や、座屈する際の条件を見る試験などを行う。部品単体の強度を試験で確認し、その結果を積み上げて機体全体の強度を保証しようという考え方(ビルディング・ブロック・アプローチ)で試験を実施している。

 FAAの型式認定取得に際して、機体強度をどうやって保証するかについて、「我々の機体強度保証の考え方やプロセスをFAAへ説明し、互いに納得がいくような理屈の上で決める」(米Honda Aircraft社社長兼CEOの藤野道格氏)ことも多いという。この点も、HondaJetの大きな特徴の1つだ。

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