(写真:日経コンストラクション)
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 「設計に不備が多い」。いつの時代も多く挙がる現場所長の悩みだ。施工手順を無視した設計や、掘ってみなければ分からない地質条件での設計など、不備の内容は多岐にわたる。

 所長はその都度、発注者に設計変更を求める交渉のテーブルに着かなければならない。設計変更で工事費が増えれば利益を見込みやすい一方、減額になれば利益確保が難しくなってしまう。

 8回もの設計変更を経て、2017年11月に竣工した岐阜県の犀川遊水地の改築工事。所長を務めた森組の荒井拓也は設計変更について「施工しづらいから工法を変えたい、では通じない。発注者の立場でメリットを考えることが重要だ」と話す。

 荒井が同工事で手掛けた幾つもの設計変更のうちの1つが、新たに構築する延長76mの分水路の構造だ。張りコンクリートで計画していた水路の一部を鋼矢板に変えた。

 当初設計は以下の通りだった。まず、掘削して造った法面の底面にU形の水路を設置。次に、水路の両脇にコンクリートを張った後、護岸を構築する。

[当初設計]
(資料:森組)
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[変更後]
(資料:森組)
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[当初設計と変更後の比較]
  [当初設計]
張りコンクリート
[変更後]
鋼矢板
施工費(10m当たり) 約550万円 約500万円
施工日数 約200日 約140日
採否
(資料:森組)

 現場周辺は3つの河川が合流し、運ばれてきた堆積土で地盤が緩い。護岸を構築するまでの間に、造成した法面が滑り崩壊する危険があった。特に左岸側には、墨俣(すのまた)一夜城という地域の歴史資料館があり、事故が起これば第三者被害につながって、工事が止まる可能性も考えられた。

奥が歴史資料館として使われる墨俣一夜城。その周りを取り囲むように、犀川と新堀川、天王川の3つの河川が流れる(写真:森組)
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