IoT時代のキーワードとして、IT技術者が押さえておきたいのが通信規格「LPWA」である。最新の技術動向や代表的な規格の仕組みについて解説する。

 IoT向け通信の本命といわれるLPWA(Low Power Wide Area)。LPWAとは、低消費電力で長距離通信が可能な規格である。

 LPWAは、免許が不要なアンライセンス系と、免許が必要なライセンス系に大きく分かれる。この記事では、ライセンス系規格について解説しよう。

 SigfoxやLoRaWANといったアンライセンス系LPWAが先行する中で、巻き返しに出てきたのがライセンス系のLPWAだ。スマートフォンなどが使っているLTEと同じ電波を使ってLPWAを実現する。電波の利用に免許が必要となるため、サービスを提供できるのは携帯電話事業者だけである。

 IoT向けLTEの最大の特徴は、すでに携帯電話事業者が全国に設置済みの携帯電話基地局を利用できること。携帯電話の通信仕様を決めている3GPPが、既存のLTEとの互換性を確保できるIoT向けの仕様を決めているので、基地局のソフトウエアを入れ替えれば対応できる。

 3GPPとは、3rd Generation Partnership Projectの略。日欧米などの標準化団体が集まって携帯電話向け仕様の標準化を進めているプロジェクトだ。異なる国や通信事業者の間で端末やネットワークの互換性を確保するための通信技術の仕様を決めている。

 3GPPでは数年おきに携帯電話で使う通信の仕様を「リリース」としてまとめている。その中でLTEに接続する端末はカテゴリー(Cat.)に分類して定義している。各カテゴリーに対応した接続サービスを基地局側で提供することで、ユーザーが利用できる。

 最初のLTEの仕様書である2008年のリリース8では、カテゴリー1~5を定義していた。この5つの中に、IoT端末に該当するカテゴリーはない。当時のLTEは高速通信を最大の目標としており、「速度が遅くてもコストや消費電力を抑えたい」というIoTのニーズは後回しにされていた。

 その後のIoTブームに乗ってSigfoxやLoRaWANが台頭してきたことを意識し、2015年のリリース12でようやくIoT端末としてカテゴリー0を定義。続く2016年のリリース13でさらにカテゴリーM1とカテゴリーNB1という2つのタイプに分けて定義した。

3GPPによるLTE通信で使う端末の分類
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 国内の携帯電話事業者各社がここ1~2年で提供を開始したのは、このカテゴリーM1とカテゴリーNB1向けのサービスだ。これらの標準が決まったことで、ようやくIoT向けLTEが本格的に提供できる環境が整った。

 なお、携帯電話事業者のサービス名としてはそれぞれ「LTE-M」や「NB-IoT」と呼んでいる。

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