パートナーの小嶋一浩氏亡き後、事務所を束ねる赤松佳珠子氏。南方熊楠記念館新館や釜石市の小中学校、渋谷ストリームなど、この2年間に注目プロジェクトが相次ぎ完成した。2018年には3件の設計プロポーザルで最優秀賞を獲得。赤松体制が緒に就いた。

赤松さんとともに代表を務めていた小嶋一浩さんが2016年10月に逝去した後、設計の進め方に変化はありますか。

 設計を進めていく議論のなかで、小嶋という大きな存在がいなくなったことは当然、大きな違いだと思いますが、設計のプロセスは変わっていません。スタッフとともにスタディーを重ねて議論しながら設計案を高めていく。その辺は、この2年間に変えているつもりはないし、これからも変えるつもりはありません。

CAt代表で、法政大学教授の赤松佳珠子氏。東京・恵比寿のCAtの事務所にて(写真:山田 愼二)
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担当スタッフが中心となってアイデアを出し合って、いいアイデアをより良くしていくというやり方ですね。

 そうですね。スタート段階で通常のプロジェクトは担当者が、プロポーザルの場合だったら担当以外のスタッフも皆、とにかくアイデアを出す。それらを並べて、もう少しこうかな、ああかな、と議論しながら進めていきます。

 小嶋も私も、最初からいきなり自分の案を出すということはなく、「こういうところが大事だね」「この部分はこういうことを考えないといけないね」とサジェスチョンしていく形でした。もちろん、小嶋のひと言で案が大きく飛躍することや、スタディーのスケッチがキーになることはありました。

かつては、小嶋さんと赤松さんの2人が中心となって設計案のベースを固めていくやり方でしたね。

 その辺は小嶋が亡くなるしばらく前から、取締役の大村真也に任せています。大村が中心となって設計案を固めていき、今は私が大村と話し合って最終決断をしたり、スタッフの問い掛けに私が答えたりする形で、案が決まっていきます。

南方熊楠記念館新館(2016年)。敷地の西側から新館を見る。1階がピロティ空間とガラス張りのエントランスホール、2階が展示室、その上に展望デッキがある。小嶋一浩氏の遺作の1つ(写真:生田 将人)
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小嶋さんが亡くなって以降の2年間に、「南方熊楠(みなかたくまぐす)記念館新館」や「渋谷ストリーム」など、注目プロジェクトの竣工が相次ぎました。

 小嶋が亡くなった16年の秋ごろはちょうど、事務所にとって、ここまで同時にプロジェクトが動いたことはないといった状況でした。和歌山県白浜町の「南方熊楠記念館新館」(2016年)をはじめ、京都市内の「京都外国語大学新4号館」(17年)、岩手県の「釜石市立釜石東中学校 鵜住居小学校 鵜住居幼稚園 釜石市鵜住居児童館」(17年)など。複数のプロジェクトが一気に動く一方、1つのプロジェクトが終われば、次の仕事を取らないといけない。ひたすら、がむしゃらに皆で走り続けてきた感じです。

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