日本全国、世界各国で大衆に受け入れられるデジタルアート作品を展開してきたチームラボ。2018年には、都内では初となる常設展示を、現時点の集大成として実現させた。代表の猪子寿之氏、そして建築部門の関連会社・チームラボアーキテクツ代表の河田将吾氏は、デジタルが普遍化した世紀の「都市づくり」を視野に収め、新たな一歩を踏み出している。

建築や空間に対する思いからお聞かせください。

猪子 人類全体の話として今後、空間をデザインするというニーズは、より高まると思います。なぜなら人は、これまで以上に外に出るようになっている。それは単純に、情報が流通するからです。

 インターネットにより、価値観や目的を共有する人同士が、近所であるかどうかという物理的な制約を超えて出会うようになりましたよね。その結果、単純に人は外に出るようになっている。ニッチなライブ、ニッチな展覧会があっても、なかなか昔は知ることができなかったけれど、今は情報があるから出掛けるわけです。そうした状況に対応して空間をデザインする仕事は、世界の中で想像を超えて重要なものになるし、より創造的なものになる。ニーズも増えるはずです。

 そのときに、今はネットワークやデジタル領域が身体の一部のようになっているわけですから、優先させるのは、そっちなんです。人間と空間の関係を考えるとしたら、切っても切り離せないデジタル領域から先に考えなければいけない。今そこにつながっていない人間なんていないくらいだし、人類としても今後、文明がある限りは常につながっているわけですよね。

チームラボ代表の猪子寿之氏(右)と、同社創設初期からのメンバーで、現在はチームラボアーキテクツの代表を務める建築家の河田将吾氏(左)(写真:西田 香織)
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ものを考える順番としては当然、デジタル領域の存在が先になる、というわけですね。

猪子 建築や都市を考えるときも、おそらくネットワークやデジタル領域の存在が先になる。今はそういう方向に動いていると思います。それによって人間と空間の関係を考える仕事の価値が下がるというわけではなく、むしろ上がる。大前提としては空間をデザインするニーズが高まり、その上で、かつてとは考える順番が違ってくるんだと思います。

 より具体的には、20世紀以前の建築が担っていた「用途のある空間」というものの価値が下がっていく。EC(電子商取引)によって買い物をするという目的の空間が重要でなくなっていったように、なにかの用途のために存在する空間や、単に雨風を防ぐための空間というのは汎用品化してしまう。そうやって汎用品として安くなってしまうことを何て言うのでしたっけ…?

コモディティー化ですか?

猪子 そう、コモディティー化すると思います。依然として供給はされるけれど、極端な話、コモディティー化される。

 人間がネットワークやデジタル環境と切り離せなくなった時代の空間のありようを考えるなら、「用途のあるもの」というのはデジタル領域に全て吸収されてしまうわけです。そして、用途のないものが現実の空間の中心になっていく。その延長で、都市のありようを考える仕事が重要になってくる。そうした大きな流れができると思います。

2018年6月に東京・お台場にオープンした「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」。オープンから5カ月で来場者数100万人を突破し、3人に1人が海外からの来場と発表している。写真は「花の森、埋もれ失いそして生まれる / Flower Forest: Lost, Immersed and Reborn」。別の作品『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして境界を越えて飛ぶ』が、隣の部屋から飛び込んできている(写真:西田 香織)
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「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」の「The Way of the Sea through the Memory of Topography - Colors of Life」(写真:西田 香織)
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「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」の「境界のない群蝶、そして積層された空間 / Flutter of Butterflies Beyond Borders, Layered Ultrasubjective Space」(写真:西田 香織)
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