寝不足が蓄積された状態を指す「睡眠負債」が社会的問題になっている。日経 xTECHは、ITや電子・機械、建築・土木などのエンジニアを対象に、睡眠実態について独自に調査した。エンジニアの驚くべき睡眠事情とは。

 アンケートでは、エンジニアの具体的な睡眠の実態を知るため、自由記述欄を2つ設けた。1つは睡眠の悩み、もう1つは睡眠の質や量を改善するために実践している自分なりの工夫だ。まずは悩みから。

睡眠を削らないと仕事以外のことができない

 「睡眠に関して悩みがあればお書きください」としたところ、260件もの記述が寄せられた。中身を分類すると、まず目立ったのは「睡眠時間を確保できない」という声だ。平日の帰宅後、家事や趣味、勉強などに時間を充てようと思えば、どうしても睡眠時間を犠牲にするしかない。代表例を幾つか紹介しよう。

とにかく睡眠時間が取れない。残業は多くないし、通勤時間も1時間程度だが、それでも1日の中に「自分のための時間」をつくろうとすると睡眠時間を削ることになる。私は通勤ラッシュの混雑に巻き込まれるのが嫌なので、朝は早めに家を出るようにしている。それも睡眠時間を減らす原因になっている。(45~50歳、既婚、男性、IT系)
残業で帰りが遅くなっても、家事をこなさなければならない。そのうえで趣味の時間まで持とうとすれば、寝るのが遅くなってしまう。できれば早寝早起きをしたいと思っているが、寝るのはいつも夜更けすぎで、朝はギリギリまで寝ているのが習慣になっている。この生活リズムをなかなか改善できない。(30~35歳、既婚、女性、IT系)
スキルアップのため、帰宅した後に勉強している。当然、睡眠時間は減る。(35~40歳、既婚、男性、IT系)
スマホの誘惑に勝てず、Webサイトを見たりゲームをしたりしていると、寝る時間が遅くなる。(30~35歳、既婚、男性、電子・機械系)
自宅に仕事を持ち帰って「家庭内残業」することが常態化している。以前にも増して、睡眠時間が短くなっている。(35~40歳、既婚、男性、IT系)

 このように理由はさまざまだが、睡眠時間が取れないと悩むエンジニアは大勢いる。これに対し、睡眠研究の第一人者である睡眠評価研究機構の白川修一郎代表は、次のようにアドバイスする。

 「まずは1週間でいい。自分で一定の期間を決めて、その間は睡眠を最優先する生活を送ってみてほしい」。睡眠時間を十分に確保できると、自分の体や気持ちがどう変わるかを体感してみるということだ。

睡眠評価研究機構の白川修一郎代表
(出所:睡眠評価研究機構)

 白川代表によれば、理想的な睡眠時間は7時間。これを下回る睡眠時間で生活を続けていると、睡眠負債がたまっていく。つまり、普段7時間未満しか寝ていない人は、1日に最低1時間ずつ、睡眠負債が増えていくわけだ。

 結果として仕事の生産性が落ちたり、病気の発生リスクが高まったりする。たとえ徹夜はしていなくても、本人が気付かないうちに体に無理をさせているわけだ。

 睡眠負債を「返済」するには、どうしたらよいか。答えは1つ。毎日7時間以上の睡眠時間を確保するしかない。とはいえ、自由記述にあったように、現実にはなかなか時間が取れない。家事、趣味、勉強など、やりたいことややらなければいけないことがたくさんある。そこで試しに「1週間」と限定してみて、7時間睡眠の継続にトライしてみるのだ。

 仕事が比較的忙しくない時期や年末年始などの長期休暇を利用し、「この1週間は絶対に毎日7時間寝る」と決めて実行するのもいいだろう。「十分に眠れば、早ければ数日で睡眠負債を解消できる人もいる。1週間試してみて体調が改善したことを少しでも実感できれば、その後も続けられるだろう」(白川代表)。

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