連載主旨

 ウミガメの鼻にプラスチックストローが刺さった衝撃的な映像が報じられたことなどにより、海洋に流れ出て粉砕されたマイクロプラスチックの問題が大きな関心を集めるようになった。しかし、マイクロプラスチックの何が問題なのか、本質を押さえた報道や議論は少ないと言わざるを得ない。マイクロプラスチックが海水中のPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を吸着し、これを小魚が取り込み、その小魚をより大きな魚が捕食する過程で起こる生物濃縮に問題の核心がある。

 この問題を正しく捉えれば、その対応策としての生分解性プラスチックの有効性も分かってくる。3回にわたって、マイクロプラスチック問題の本質と最新状況、そして日本の産業界がなすべきことを解説する。

小松 道男(こまつ・みちお)
小松技術士事務所所長、ものづくり名人
写真 小松 道男

 アルプス電気を経て、1993年に小松技術士事務所を設立。技術士(機械部門)、日本合成樹脂技術協会 理事。プラスチック射出成形金型の開発、射出成形システムの研究、ポリ乳酸(PLA)射出成形ビジネスの事業化、超臨界微細発泡射出成形技術(MuCell)の研究、バイオプラスチック応用技術開発等を展開中。欧米のプラスチック技術、金型技術に精通している。日本、米国、ドイツ、フランス、英国、オランダ、スイス、カナダ、中華人民共和国、韓国で特許権(特許発明総数280個)、意匠権3件、商標権1件を保有。

 著書に『事例でわかるプラスチック金型設計の進め方』(日刊工業新聞社)、『プラスチック射出成形金型設計マニュアル』(日刊工業新聞社)、『はじめての金型技術』(共著、工業調査会)、『プラスチック射出成形金型』(共著、日経BP社)、『金型が一番わかる』(共著、型技術協会編)、『インジェクション金型の設計2』(CD-R、NTTデータエンジニアリングシステムズ)など多数。

 1991年、技術士第二次試験に史上最年少(27歳)で合格。主な受賞は、日本機械学会畠山賞、公益財団法人中部科学技術センター振興賞、日本合成樹脂技術協会特別会員、LAUNCH:BEYOND WASTE Forum,Innovator of Innovators(NASAジェット推進研究所にて、米国ベンチャー企業Co-Founderとして)など。型技術協会会員、プラスチック成形加工学会会員、SPE(Society of Plastics Engineers、USA)会員。福島高専非常勤講師、元仏Rhone-Alpes州クラスター親善大使。公益社団法人日本技術士会フェロー。K2013国際ゴム・プラスチック専門見本市 Japan Technology Forum(ドイツ)にて基調講演、PLASTIPOLIS FORUM 2014(フランス)ではInternational sectionにて講演。

 2018年1月「第7回ものづくり日本大賞」内閣総理大臣賞を「植物由来生分解樹脂の世界的普及の端緒となる日本発の射出成形技術群の開発と応用製品」で受賞、「ものづくり名人」の称号を得る。同年11月「第10回世界水族館会議」Pollution of the Water Planetセッションにて基調講演。