住宅の耐震性能の確保で重要な役割を果たす面材耐力壁におけるくぎのめり込みが大きい場合の問題をこれまでひも解いてきた。ここでは、具体的な壁倍率での評価や少ないめり込みに対する考察を示す。

 くぎのめり込み量が異なる5つの耐力壁に荷重を加えて変形させる実験の結果を基に、各試験体の耐力を評価していこう。ここでは、壁倍率を算出して比較した。壁倍率の評価は一般的な方法に基づき、「降伏耐力(Py)」、「最大耐力(Pmax)の3分の2」、「終局耐力(Pu)に(0.2/Ds*)を乗じた値」、「見かけの変形量が120分の1ラジアンのときの耐力」の4項目でそれぞれ壁倍率を算出し、その中の最も小さい数値を採用した。

 厚さ9mmの構造用合板を使った今回の実験での評価は、くぎのめり込み量が0mmの場合で壁倍率3.0だったのに対し、他の4試験体ではいずれもこれを下回った(図1)。壁倍率の評価で見ても、くぎのめり込みで性能が低下することが明らかになった。

(図1)めり込みが大きいと告示仕様を下回る壁倍率に
実験結果から、5つの試験体の壁倍率を算出した。施工の影響などを勘案した低減係数を掛けていない状態だ。めり込み深さ4mmの試験体は、告示で求められる壁倍率2.5の値を下回る結果だった(資料:日経ホームビルダー)
[画像のクリックで拡大表示]

 特にくぎのめり込み深さが4mmに達するような施工は危険だ。ここで求めた5つの試験体の壁倍率は、耐久性や使用環境、施工性の影響などを勘案した低減係数を掛けていない値だ。通常は値が表の値よりも小さくなる。にもかかわらず、4mmめり込んだ試験体は壁倍率の評価で2.4と、告示の2.5を下回った。この時点で既に耐力に余裕がない危険な状態と言える。

*Dsは変形性能を示す構造特性係数

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら