住宅の耐震性能の確保で重要な役割を果たす面材耐力壁の施工でくぎをめり込ませた際の実大実験を通じて、くぎのめり込みが耐力低下をもたらすことを本特集で紹介してきた。今回はくぎ穴の破壊がもたらすパンチングアウトの影響を分析する。

 くぎのめり込み量が増すと耐力壁の性能が低下する結果に関して注目すべき最後のポイントは、水平変位が50mmを超えてからの荷重の推移だ。厚さ9mmの構造用合板に対して、くぎのめり込み量が3mmと4mmの試験体は、いずれも50mmを超えた付近で急激に荷重の値が下がっている。これは、合板のくぎ穴の破壊などで生じるパンチングアウト(パンチングシア)が複数箇所でほぼ同時に起こり、一気に耐力が低下したためだと考えられる。

 軸材に構造用合板をくぎで留め付ける場合、くぎの保持力は、くぎ頭の大きさ(直径)、合板の密度(堅さ)、合板の厚さ、軸材の密度(堅さ)の4つの要素で決まる。いずれもその数値が大きいほど、くぎの保持力は高まる。

 くぎをめり込ませて施工することは、この4要素のうち、合板の厚さが変化した場合とほぼ同じと考えられる。例えば、厚さ9mmの構造用合板を使用する場合、めり込み量が4mmで施工したものは、厚さ5mmの構造用合板を留め付けた場合と同等の保持力となる。このとき、合板が力に耐えきれず破壊されれば、くぎが外れた状態、いわゆるパンチングアウトが生じる〔図1、写真1、2〕

〔図1〕くぎのめり込みは合板の厚さの変動に相当
くぎが合板を保持する力は、くぎ頭の大きさ、合板の密度(堅さ)、厚さ、軸材の密度(堅さ)の4要素で決まる。くぎがめり込んだ状態は、合板の厚さが減った状態に相当する。保持する力に合板が耐えられなくなると合板が壊れくぎが外れる、いわゆるパンチングアウトが生じる(資料:日経ホームビルダー)
[画像のクリックで拡大表示]
〔写真1〕くぎは曲がるも合板を保持
くぎが合板を保持している状態。くぎは曲がっているが、軸材から抜けたり合板から外れたりしていない(写真:澤田 聖司)
[画像のクリックで拡大表示]
〔写真2〕深くめり込むとパンチングアウトが生じやすい
くぎがめり込むと、合板が保持力に耐えられなくなって破壊され、くぎが外れる、いわゆるパンチングアウト現象が生じる。柱に残ったくぎはあまり曲がっていない(写真:澤田 聖司)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら