住宅の耐震性能の確保で重要な役割を果たす面材耐力壁が性能を発揮するためには、仕様通りに施工しなければならない。だが、「この程度なら」と独自の判断で見過ごされる施工ミスは少なくない。くぎのめり込み深さはその1つだ。特集「くぎめり込みで危険な耐力壁はどれ?」では、この問題を実大実験で検証。その危険性を浮き彫りにする。まずは、実験の内容を紹介していこう。

 構造用面材を用いた耐力壁を施工する際に、くぎのめり込みに気を配る住宅会社は少なくない。特に昨今は建て主の目が厳しく、少しのめり込みでも再施工を求めるケースがある。だが、くぎのめり込みについては、明確な指針がない。どの程度めり込むと、どのくらい耐力に影響するのかはよく分かっていないのだ。

 そこで日経ホームビルダーでは、面材耐力壁におけるくぎのめり込みの影響を実大実験で検証することにした。

 実験方法は、耐力壁の性能評価試験をベースとし、静的加力による面内せん断試験を採用した。実験に用いる耐力壁は、木造軸組み工法で大壁の面材耐力壁、壁倍率2.5の告示仕様に準じた〔写真1〕

〔写真1〕告示仕様を基本に現場を考慮した仕様に
構造用合板の厚みやくぎの仕様などは、告示の仕様を基本とした。ただし、軸材や構造用合板の樹種などは、現場の仕様を参考に選定した(写真:澤田 聖司)
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 実験内容を決めるのに当たり、合板メーカー大手のセイホクで技師長を務める神谷文夫氏に監修を依頼した〔写真2〕。神谷氏は森林総合研究所の研究コーディネーターを務めた他、木造建物の振動台実験などのプロジェクトに関わってきた人物だ。

 実験は、ポラス暮し科学研究所の施設にある面内せん断試験用アクチュエーターを使用して行った〔写真3〕。試験体の作成や実験作業は、同研究所構造Gの照井清貴グループ長、同グループ開発第2チームの中島紀明チームリーダー、同チームの目黒正吾氏が担当した。構造技術の開発や、社外から委託を受けた構造性能評価試験を担う専門チームだ。

〔写真2〕耐力壁の専門家が監修
実験に当たり、木造の耐力壁の専門家である神谷文夫氏に監修を依頼した。神谷氏は、森林総合研究所の研究コーディネーターを務めた他、木造建物の振動台実験などのプロジェクトに関わってきた(写真:澤田 聖司)
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〔写真3〕静的加力試験機で検証
ポラス暮し科学研究所では、面内せん断試験用アクチュエーターを使用して、構造技術の開発の他、社外企業から委託を受けて構造性能評価試験を実施している(写真:澤田 聖司)
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