米インテル製CPU「Xeon」のライバルは、米AMDや英アームが開発するサーバープロセッサだけではない。成長著しいAI分野ではGPUに奪われて久しく、“新顔”が続々と台頭してきた。

 2021年にはデータセンター用プロセッサ市場におけるGPUのシェアが、CPUに迫る規模に成長する――。米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のリサ・スー(Lisa Su)社長兼CEO(最高経営責任者)は2018年11月6日(米国時間)に米サンフランシスコで開催した記者説明会でそのような見方を示した。

データセンター用プロセッサ市場に関する予測
出所:米AMD
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 AMDのスーCEOによれば、データセンター用プロセッサの市場規模は、現在の200億ドルから2021年に290億ドルまで成長する。特にGPUは年率数十%の勢いで成長し、市場全体の4割程度を占めるようになると見込む。今後の成長が期待される大規模シミュレーションやディープラーニング(深層学習)などが、GPUに向いたワークロードだからというのがその理由だ。

 AMDは2018年11月6日の発表会で、サーバープロセッサ「EPYC」の次期版「ROME(開発コード名)」に加えて、データセンター用GPUの新製品「Radeon Instinct MI60」「同 MI50」を発表した。スーCEOは「7nm(ナノメートル)プロセスで初めて製造されるデータセンター用GPUだ」と語る。AMDによるデータセンター市場の攻略はCPUとGPUの2本立てとする姿勢を改めて強調した。

 スーCEOの鼻息が荒いのも当然だ。AMDより先にデータセンター市場に参入した米エヌビディア(NVIDIA)は、この分野で目覚ましい成功を収めた。エヌビディアの2018年8~10月期決算におけるデータセンター事業の売上高は7億9200万ドルで、2年前の2016年8~10月期の3.3倍に達した。データセンター用GPUがいかに急速に成長しているかが分かる。

エヌビディアのデータセンター事業売上高は2年間で3.3倍に拡大
参考までにインテルのデータセンター事業売上高と比較した。インテルも順調に伸びているが、もともとの規模が大きいこともあり、2年前と比べた倍率は1.4倍にとどまる
決算期エヌビディアインテル
2016年8~10月期2億4000万ドル45億4200万ドル(2016年7~9月期)
2016年11月~2017年1月期2億9600万ドル46億6800万ドル(2016年10~12月期)
2017年2~4月期4億900万ドル42億3200万ドル(2017年1~3月期)
2017年5~7月期4億1600万ドル43億7200万ドル(2017年4~6月期)
2017年8~10月期5億100万ドル48億7800万ドル(2017年7~9月期)
2017年11月~2018年1月期6億600万ドル55億8200万ドル(2017年10~12月期)
2018年2~4月期7億100万ドル52億3400万ドル(2018年1~3月期)
2018年5~7月期7億6000万ドル55億4900万ドル(2018年4~6月期)
2018年8~10月期7億9200万ドル61億3900万ドル(2018年7~9月期)

GPUに続く刺客も現る

 今後の成長が期待されるAI需要を狙っているのはGPUだけではない。米スタンフォード大学で2018年11月9日(米国時間)に開催されたロボットのシンポジウム「Bay Area Robotics Symposium(BARS) 2018」に登壇したロボットスタートアップ、米アンキ(Anki)の共同創業者マーク・パラトゥッチ(Mark Palatucci)氏は、同社が米グーグル(Google)のAIクラウド「Cloud TPU」を使用していることを明らかにした。

講演する米アンキのマーク・パラトゥッチCTO
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 アンキが2018年に発売した「Vector」は、ユーザーの友達となって会話やゲームなどのコミュニケーションを通じて楽しませてくれる玩具ロボットだ。カメラで撮影した画像からユーザーの顔を認識する機能やユーザーの音声を認識する機能など高度なAI機能を備える。

 機械学習の推論処理でも、画像認識のような軽いものならロボットに内蔵する米クアルコム(Qualcomm)製のスマートフォン用プロセッサ「Snapdragon」で処理できる。しかし音声認識のような重い推論はスマホ用プロセッサで処理するのが難しいのでクラウド側に任せる。そのクラウドのバックエンドにグーグルのCloud TPUを使用しているというのだ。

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