地震が少なく、竣工から半世紀をゆうに超えた超高層ビルが立ち並ぶ米ニューヨークのマンハッタン。時を刻んだレトロ建築は歴史的な価値が高いが、現代のオフィスに求められる機能や設備は多岐にわたる。竣工時の建物のままでは、テナント企業の要望を十分に満たせない。三菱地所米国子会社のロックフェラーグループ・インターナショナル社(ロックフェラーグループ社)は、1959年に完成した超高層ビルを躯体を生かしながら、ファサードや設備を刷新。旧ビルの良さを残しつつ、今日の働き方に対応したオフィスビルに再生するプロジェクトに取り組んでいる。

米ニューヨーク、マンハッタンの6番街に立つ築59年の超高層オフィスビル「1271アベニュ―・オブ・ザ・アメリカス」。三菱地所の米国子会社であるロックフェラーグループ・インターナショナル社が2016年10月から大規模改修工事を進めている。下層部から改修が始まり、現在は上層部の外壁を取り払って新しい窓枠を取り付ける工事が進んでいる(写真:日経アーキテクチュア)
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 ニューヨーカーの憩いの場であるセントラルパークの南端から、マンハッタンのミッドタウンを貫いて南北に走る6番街。「アベニュー・オブ・ザ・アメリカス」と呼ばれるこの大通りには大手金融機関や商業施設が軒を連ね、超高層ビルの谷間が彼方まで続く。この大通りの西側に面する築59年の超高層オフィスビルが、既存の躯体を生かした大規模改修に取り組んでいる。ロックフェラーグループ社が進める「1271アベニュー・オブ・ザ・アメリカス(AoA)」の再生計画だ。

改修前の1271アベニュー・オブ・ザ・アメリカスの写真。旧名称は「タイム・ライフビル」だった。6番街に軒を連ねる超高層オフィスビルとして、ランドマークの1つとなってきた(写真:ロックフェラーグループ・インターナショナル社)
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1271アベニュー・オブ・ザ・アメリカスの立地図。6番街を挟んだ東側にはロックフェラーセンターが立っている(資料:ロックフェラーグループ・インターナショナル社)
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 1271AoAは、旧名称を「タイム・ライフビル」という。ニューヨークを拠点とした設計事務所「ハリソン・アブラモビッツ・ハリス」が設計を手掛け、1959年に竣工したオフィスビルだ。6番街を挟んで東側に整備されたロックフェラーセンターの最初の拡張プロジェクトとして建設された。地下3階・地上48階建ての超高層ビルで、建物貸付面積は約19万5000m2におよぶ。半世紀以上にわたり地域を代表する建築の1つとして、6番街の風景を形づくってきた。

1271アベニュー・オブ・ザ・アメリカスの改修後のイメージ。窓面を旧ビルから約1.6倍に拡大しながらも、ファサードの意匠は旧タイム・ライフビルを踏襲している。空調機器やエレベーターなどの館内設備は一新して現代的なオフィスビルに生まれ変わる(資料:ロックフェラーグループ・インターナショナル社)
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 ロックフェラーグループ社は2016年10月から1271AoAの大規模改修を開始した。総額で約6億ドル(約680億円)を投じる一大プロジェクトだ。計画の概要は、外壁のガラスカーテンウオール交換によるファサードの刷新や、空調機器やエレベーターなどの館内設備の更新。1階ロビーや外構などの共用部分は、開放的な空間を意識しつつ、旧ビルの特徴を色濃く残すデザインとしている。

 プロジェクトの完了は19年末を見込む。第1号テナントとして既に「メジャーリーグベースボール」の入居が決まっている。ほかにも米大手弁護士事務所や日系金融機関とのテナント契約を取り交わしている。改修後の賃料水準は、改修前と比べて4割から5割ほど上昇したという。

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