日経 xTECH有料会員限定 現在はどなたでも閲覧可能です

 地場材を使いたいという自治体の要望は多いが、特殊な架構は地元で木材を加工できない場合が多い。防災拠点の建設に当たり設計者は、流通材による大架構で「自分たちもできる」と地元をその気にさせる設計を狙った。

 ヘリコプターを格納する屋根架構は、約20mスパンの木造トラスだ。910mmピッチでトラスが並ぶ様は、鳥の巣のようでもある〔写真1〕。2017年11月に阿蘇熊本空港の隣で供用を開始した「熊本県総合防災航空センター」は、防災消防航空センターと警察航空隊基地の2施設を合築したもの。ヘリコプターを1機ずつ収め、九州の広域防災拠点となる〔写真2〕。

〔写真1〕20m超スパンの木造トラス
防災消防航空センターの屋根架構の見上げ。20.93mスパンの木造トラスが、間口26.39mにわたって910mm間隔で連続する(写真:イクマ サトシ)
[画像のクリックで拡大表示]
〔写真2〕消防と警察の2つの格納庫から構成
南側からの全景。防災消防航空センター(右手)と警察航空隊基地の2つに分かれ、基壇部に事務室や共用のブリーフィングルームが入る。建物は平屋(写真:イクマ サトシ)
[画像のクリックで拡大表示]
断面図
[画像のクリックで拡大表示]

 「平時は機能を分けてセキュリティーにも配慮しているが、緊急時は防災関係者が連携できるように、両施設間にブリーフィングルームを配置している」と、県総務部消防保安課の阿南秀二課長補佐は説明する。

 くまもとアートポリスの参加事業として15年に設計プローザルを実施。最優秀に選ばれたアトリエ・シムサ(東京都目黒区)案の最大の特徴は、主に住宅用として流通している120mm角の製材をメインに使って屋根架構を構成していることだ〔写真3〕。プロポーザル後は、ライト設計(熊本市)とJV(共同企業体)を組んだ。

〔写真3〕住宅用の流通材を極力用いる
防災消防航空センターの内部。中型ヘリコプター「ひばり」を格納する。トラスの束材と斜材には120mm角の住宅用流通材を使用。下弦材を3スパン以上つなぐ形で連結材を配置(写真:イクマ サトシ)
[画像のクリックで拡大表示]