教育機関や歴史的建造物が立ち並ぶ落ち着いた趣の東京・文京区本郷が、AI系スタートアップ企業の聖地になりつつある。東京大学が中心となって産学連携による起業家育成の枠組みを構築。ベンチャーキャピタルや成功を収めた先輩起業家らを巻き込む。

今回の対象地域は東京・文京(本郷)を中心にした一帯(赤枠。灰色は前回までの対象地域である渋谷と五反田)
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 宇宙、農業、医療など様々な領域から総勢100人以上の学生や社会人が集い、AI(人工知能)技術を活用して社会課題の解決に挑む――。ソフトバンクグループの子会社で、AI領域に特化した起業家を支援するディープコアは2018年8月、文京区本郷にインキュベーション(起業支援)施設「KERNEL HONGO(カーネル本郷)」を開設した。

 立地は本郷3丁目駅から徒歩2分。ビルの3、4階に共有スペースやミーティングルーム、パントリーなどを備え、審査を通過した社会人や学生に24時間無償で開放する。コワーキングスペースの運営を手掛ける米ウィーワークが施設デザインを監修した。

KERNEL HONGOの共有スペース
(写真提供:ディープコア)
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KERNEL HONGOのプロジェクトルーム、機密性の高い情報を扱えるようスイッチ1つでガラスを不透明にできる
(写真提供:ディープコア)
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 「起業を目指すコミュニティの形成から事業の立ち上げまで一貫して支援する」。ディープコアの雨宮かすみCFO(最高財務責任者)はKERNEL HONGOのコンセプトをこう説明する。研究の成果を社会に実装したい人や起業に関心がある人たちの「出会いの場を作ることで、起業の好循環を生み出す」(同)のが狙いだ。

 ディープコアが注力する領域はAI、とりわけディープラーニング(深層学習)だ。技術顧問やアドバイザーにはAI研究で著名な東京大学の松尾豊特任准教授や起業家兼投資家の孫泰蔵氏が名を連ねる。2018年11月の時点で国内外の約130人がメンバーとなっている。およそ半分が学部生、3割が大学院生、2割が社会人という構成だ。AIアルゴリズム開発のPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)やニュースアプリのグノシーなど、東大卒業生が立ち上げた先輩企業の活躍を見て起業を意識する学生も増えているという。

 KERNEL HONGOの入居者はビジネスやAI技術について学ぶイベントや、企業のデータを使った共同プロジェクトにも参加できる。ディープコアと提携した米エヌビディアが提供するGPUコンピューティングサービスなども利用可能だ。ディープコアのファンドに有望なスタートアップ候補と認められれば投資を受けられる。

ディープコアの雨宮かすみCFO(最高財務責任者)
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ディープコアでKERNELの運営を担当する田中和哉ディレクター
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