世界で「接合革命」が起きている。軽量化や材料の多様化により、これまでの溶接から接着剤への置き換えや併用が進んでいるのだ。このニーズを捉えた日本の接着剤メーカーが、自動車の車体向けに従来の特性を超える構造用接着剤を開発し始めた。横浜ゴムが生み出したのは、強度も伸びも優れる低温速硬化ポリウレタン系接着剤。炭素繊維強化樹脂(CFRP)の接着にも使える。その特性は、ドイツのビーエムダブリュー(BMW)がCFRP製ボディーの接合で量産使用する接着剤を超える、現時点で世界最強の接着剤だ。

横浜ゴム 研究本部 木村 和資氏
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 強度が高く、よく伸びる接着剤を生み出す──。これが、新たな接着剤を開発する上で我々が掲げたテーマだ。接着剤の世界では強度(せん断強度)と伸びがトレードオフの関係にあり、「バナナカーブ」と呼ぶ曲線に乗るという「常識」がある(図1)。結論から言えば、我々はこの常識の壁を打ち破り、強度にも伸びにも優れる低温速硬化ポリウレタン系接着剤を開発した。

 狙いは、自動車ボディー、中でも炭素繊維強化樹脂(CFRP)を使う軽量化ボディーでの実用化だ。実は、独ビーエムダブリュー(BMW)の電気自動車「i3」のCFRP製ボディーに使われている接着剤と比べても、強度と伸びの両方で上回っている。現時点ではCFRP向け接着剤で世界最強にあると言える。

 近年、自動車ボディーに接着剤(構造用接着剤)の採用が広がっている。よく使われているのは、エポキシ接着剤とポリウレタン接着剤だ。前者は高強度だが伸びにくく、後者は強度が比較的小さいがよく伸びる。ところが、強度と伸びの両方に優れるものがなかった。そのため、ユーザーは目的に応じて接着剤を使い分けているというのが現実だ。

 我々は、NEDO「革新的新構造材料等研究開発」プロジェクトのテーマの1つである「構造材料用接着技術の開発」に、新構造材料技術研究組合(ISMA)の再委託先として参加して、新しい接着剤の開発に取り組んでいる。

図1●自動車構造用接着剤の強度と伸びの関係
新しい接着剤はこれまでの常識であるバナナカーブを超越している。
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