将来、宇宙空間で多くの人が長期間生活するようになれば、地上から持ち込む食料だけで賄うことは難しい。そこで宇宙で主食となる農作物を栽培する。このような研究にパナソニックが取り組んでいる。同社は宇宙航空研究開発機構(JAXA)や玉川大学と、月面基地を想定した完全閉鎖型・完全水耕栽培でのジャガイモ栽培に関する共同研究を2017年12月に開始していた(図1)。

図1 完全閉鎖型・完全水耕型人工栽培システムで栽培中のジャガイモ
パナソニックが研究してきた閉鎖型の植物工場でのジャガイモの栽培法を基に、月面基地での利用を想定してJAXAや玉川大学と共同研究している。(写真:パナソニック)
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 月面基地のジャガイモ栽培で目指すのは、少量の種イモを地上から月面基地に持ち込み、その種イモから、基地で生活する人々が食用とする十分な量のイモと、次回以降に収穫するための種イモを生産する宇宙での「地産地消」である。肥料は、人の食べ残しやふん尿から栄養素を抽出して利用する。現在、研究が進められている微生物を使った発酵などによる廃棄物からの栄養素の抽出や、月の砂に含まれるカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)などを肥料としての活用技術について「積極的に取り入れたい」(パナソニック)という。

 宇宙空間や月面基地で栽培する主食としてジャガイモを選ぶ理由は、小麦やコメなどの他の主食と比べて育てるための光や水が少量で済むからだ。例えば、1kgのジャガイモを栽培するために必要な水量は160L。一方で、小麦は約1200L、米は約2700Lが必要になる。さらに甘味があるサツマイモなどと比べて飽きにくく、欧州では主食とする国が多い。

 地上でのジャガイモの栽培について、パナソニックは2012年から将来の食糧危機に備える目的で閉鎖型の植物工場で栽培する研究をしてきた(図2)。宇宙でのジャガイモ栽培は、この研究をさらに発展させるものだ。

図2 植物工場を含むパナソニックの農業関係の取り組み
(図:パナソニック)
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