なぜ未来の材料として木に注目が集まっているのか――。大別すると3つの理由がある。1つは地球温暖化の防止に向けた二酸化炭素の排出量削減だ。これは、世界各国での取り組みが求められ、日本においても長期目標を定める重要課題であることは言うまでもない。木材利用は、この重要課題を解決するための有力な方策に位置付けられている。

 樹木は光合成によって大気中の二酸化炭素を取り込み、木材の形で炭素を貯蔵する。つまり木材の形で利用していれば、その間、大気中にあった二酸化炭素を固定できることになる。林野庁が2018年6月に公表した森林・林業白書によると、一般的な木造住宅の炭素貯蔵量は、鉄骨プレハブ住宅や鉄筋コンクリート造の住宅に比べて約4倍に及ぶ。

 一般的に、木材は鉄やコンクリートといった材料に比べて、製造や加工に要するエネルギーが少なくて済む。つまり、材料製造時の二酸化炭素排出量も少ないわけだ。

 加えて、資材として利用できない木材を化石燃料の代わりに燃やした場合、育成から利用までのサイクルを構築できていれば、大気中の二酸化炭素を実質的に増やさずに済む。いわゆるカーボンニュートラルな性質を木材は持っている。

 だからといって、木材利用は環境保全というお題目だけで進んでいるわけではない。材料としての魅力が存在するからこそ、利用や研究開発が盛んになっている。材料自体が様々な特長を持つ点が、木材に注目が集まるもう1つの理由だ。

 木材を使いたいと思わせる理由として、真っ先に掲げられる特長は軽さだ。建物や構造物に利用する際に、重量の軽さはコスト削減に効く。軽い構造物であれば、杭をはじめとする基礎などを簡素化できるからだ。自動車をはじめとするモビリティーであれば、燃費改善につながる。

 軽さは施工時の扱いやすさにもつながる。木材は建築用の部材としてパネル化を図るなどすれば、施工が容易な部材となる。そして、施工の容易さは、工期短縮などに結び付く。海外の高層ビルで木造を多用する事例が散見され始めた一因は、工期の短さにほかならない。

カナダに建設された18階建ての木造を多用した高層ビル。大学の学生寮として建設し、床材にCLTを採用している(写真:Pollux Chung、Seagate Structures)
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英国で建設されたDalston Lane(ダルストン・レイン)。10階建ての集合住宅と商業施設による複合施設でCLTを用いた(写真:Daniel Shearling)
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