スギ材から抽出した改質リグニンを樹脂の成分とするガラス繊維強化プラスチック(GFRP)製の自動車部品を、実際の自動車に取り付けて耐久性などを確かめる。そんな世界初の試みが、2018年10月に日本国内で始まった。産業技術総合研究所(産総研)と森林総合研究所(森林総研)、宮城化成(宮城県栗原市)、光岡自動車(富山市)の4者が実施している。

 改質リグニンを用いた部品として実車に搭載したのは、外装部品であるボンネットと内装部品であるドアトリム、アームレスト、スピーカーボックスの4点だ。約1年にわたって、これらの部品を搭載した自動車を屋外で走らせ、温度や湿度、天候などによる影響を評価する。

改質リグニンを添加した樹脂で製作したボンネットを光岡自動車のビュートに搭載した。ボンネットの重量は5.8kg。外部環境にさらして、経時変化を確認する(写真:光岡自動車)
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自動車の内装部品であるドアトリム、アームレスト、スピーカーボックスにも、改質リグニンを用いたGFRPを採用した(写真:光岡自動車)
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 今回の実車による評価で用いたGFRPは、従来のエポキシ樹脂を用いたGFRPを改良したものだ。従来のGFRPに用いていた硬化材の一部を改質リグニンに置き換えている。

 改質リグニンを添加した樹脂を含浸させたGFRPは、従来のエポキシ樹脂を含浸させたGFRPに比べて10~20%ほど引張弾性率が向上した。この数値が大きいほど、荷重に対する変形を抑えられる。しかも、これら2つのGFRPに対して、20年間の耐久性に相当する3000時間の加速劣化評価を実施したところ、時間経過とともに、その差が大きくなる傾向にあった。

改質リグニンを添加した樹脂を用いたGFRPとエポキシ樹脂を用いたGFRPについて、引張弾性率を加速劣化評価で確認した結果。85℃、相対湿度85%の環境下で確認した。改質リグニンを添加したケースは、硬化材として用いた無水フタル酸の重量パーセントを50%から32%に下げ、その分を改質リグニンとした。宮城化成の資料を基に日経 xTECHが作成
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 強度が高くなれば、その分、使用材料を減らせる。2割の強度改善を見込めれば、重量も2割減り、燃費改善効果を期待できるようになる。

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