自己修復材料は、高分子系材料といった有機化学の分野で、早い時期から研究されてきた。近年は、横浜国立大学の中尾航教授らが研究しているセラミックスなど、無機化学の領域にも広がっている。

 自己修復材料というと、例えば高分子材料の中に硬化樹脂などを入れたカプセルを埋め込み、傷が入った際にそのカプセルが割れて修復されるものや、コンクリートにバクテリアを入れておいて、その代謝を活用してひび割れを修復するものなどが海外で開発されている。

 こうした技術に対して、中尾教授らが取り組むセラミックスの自己修復システムには斬新な概念がある。化学反応の結果、亀裂を充填・修復するだけでなく、結晶化して素材自体の特性を変え、強度も回復するという点だ。従来の素材は「壊れない」ことを前提にしていた。その考えに対し、「壊れてから強度を出す」という発想の素材としたのだ。

 この素材が工場やプラントの配管、部品に利用されるようになれば、メンテナンスコストの抑制につながる。特に海外企業の場合、いったん設備を使い始めたら止めずに常時稼働させることが珍しくない。壊れても自己修復されて強度が高まるのであれば、その分、メンテナンスの間隔を延ばせる。海外企業だけでなく、工場やプラントなどを止めるタイミングが限られるインフラを持つ企業にとって、自己修復材料に対するニーズは高い。

大和証券エクイティ調査部アナリストの平川教嗣氏(写真:日経 xTECH)
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