近年話題となっている「自己治癒材料」や「自己修復材料」については、現状ではまだ定義が定まっていない。材料における自己治癒や自己修復(以下、まとめて自己修復)という機能は、かなり前から数多くの研究者の中で注目されてきた機能である。

 ただ、これまでは材料の種類ごとに研究が進められてきた。自己修復という1つの機能に着目して、いろいろな研究者が集まってきたのは最近のことだ。一般的に自己治癒材料や自己修復材料という名称から受けるイメージは、自発的に傷を治すことができる材料というものだろう。実際に、そうしたものを総じて自己治癒材料、もしくは自己修復材料と呼んでいるのが実情だ(以下ではまとめて自己修復材料と呼ぶ)。

 自己修復材料は材料に新しい価値を与える。例えば、長寿命化やメンテナンスフリーといった価値だ。自己修復性能が有効である限り、特性の減衰が緩やかになったり、ほぼ一定に保ったりできるので、部材の長寿命化やメンテナンスフリー化を実現可能だ。

自己修復性能を持つ材料が生み出す価値を示す。左はメンテナンス性や長寿命化の観点から、右は環境適合性の観点から描いた図だ(資料:中尾 航)
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 さらには、自己修復の機能によって環境に適合し、性能を向上させる可能性もある。自己修復が発現するたびに不良箇所が減っていくので、機能が高まるからだ。この特性は、初期不良がある製品でも使用が可能になるという可能性に結び付く。

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