100年、いや130年に1度の変革期を迎えたと言われる自動車業界。価値観の変化で、所有からカーシェアリングの流れが加速し、世界の新車販売台数や保有台数の行方に自動車業界が注目している。二酸化炭素(燃費)の削減規制は、保有台数の高精度な見積もりをベースに、決める必要がある。自動車を知り尽くす元トヨタ自動車の技術者で愛知工業大学工学部客員教授の藤村俊夫氏は、2050年の保有台数を算出。現状の燃費規制は緩すぎると警鐘を鳴らす。(近岡 裕=日経 xTECH)

藤村俊夫氏
愛知工業大学工学部客員教授(工学博士)、 元トヨタ自動車、PwC Japan自動車セクター顧問をはじめ数社の顧問を兼任

 本連載の第4章として取り上げるテーマは、将来の自動車の保有台数と二酸化炭素(CO2)排出量の予測だ。今回強調したいのは、以下の通りである。

  • 世界の自動車の販売台数(新車販売台数)は2040年に1.1億(下振れ)~1.3億台(上振れ)と、現状の0.97億台(2017年)から増加する。
  • カーシェアリングは新車販売台数に影響を及ぼし、大きく見積もると世界で2000万台減程度になる。
  • 燃費(CO2)規制は現状の年率5%から8%への強化が必要となる

 2015年時点における世界の新車販売台数は0.9億台(2017年に0.97億台)で、保有台数は12.6億台、総CO2排出量は約60億tだった。では、これらの数字が今度どう変化していくのか。今回は、2050年に向けた新車販売台数と保有台数、総CO2排出量を予測しよう。

 図1は、世界の新車販売台数の現状と2040年の予測だ。新車販売台数に関する先進国の状況を見てみると、米国は1800万台、欧州は2200万台、日本は500万台でそれぞれ飽和状態にある。これを人口比率で見てみると、米国(3億2000万人)は5.6%、欧州(7億4000万人)は3%、日本(1億3000万人)は3.8%。つまり、飽和状態にある先進国では、人口に対する新車販売台数の比率は3~6%ということになる。

図1 世界の新車販売台数の現状と2040年の予測 (人口要因を考慮)
先進国の新車販売台数は今後飽和する。一方で、新興国、中でも特に人口が多い中国とインドの新車販売台数はGDPの伸びとともに増加する。(作成:藤村氏)
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 今後は、新興国の中でも特に人口が多い中国とインドが、GDP(国内総生産)の伸びとともに販売台数を増加させる。そこで、どこまで増えるかを計算するために、人口に対する新車販売台数の比率を中国が4%、インドが3%と見積もる。すると、中国は現状の2800万台から5600万台で飽和(今後の人口の大幅増はない)し、インドは現状の400万台から3900万台で飽和(人口は増加するが、高齢化によるものなので、ここでは考慮しない)すると予想される。つまり、中国とインドでの増加分は6300万台と見込める。

 先進国と中国とインド、そしてその他の新興国を含めた全世界の新車販売台数を見ると、1.6億台まで増加した後、2040年前後に飽和すると予測できる。

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