これまで本連載では、ブロックチェーンの基礎や現状の技術課題について解説してきた。最終回は、ブロックチェーンの応用として、共通する適用領域とそれが社会に与えるインパクトについて解説する。

 一括りに「ブロックチェーン」と言っても、ビットコインやイーサリアムといったプロダクトによって、技術要素に大きな違いがある。一般に「パブリックチェーン」と「コンソーシアムチェーン」に分類できるが、これはブロックの検証方法(コンセンサスアルゴリズム)の違いによるもので、ブロック検証者として「採掘者」と呼ばれる不特定多数の参加者を想定するか、事前認可制にするかの違いである。このほかにも様々な技術的な違いがあることから、適用領域を考えるに当たっては、それぞれのプロダクトの技術要素を深く理解する必要がある。

 技術要素の違いによって、ブロックチェーン上で実現できるものはそれぞれのプロダクトによって異なる。共通している点は、ブロックに取引記録(トランザクション)を格納し、ブロックデータをハッシュ化して履歴情報をつないでいく、という基本のデータ構造だけと言っても過言ではない。では、ブロックチェーンで共通して実現できるものは何かというと、それは「ネットワーク参加者間での“所有権の証明”と“価値移転”」である。そのような技術特性を必要とする適用領域として、筆者は基本的には「広義の金融商品の発行・流通」に帰着すると考える。

カバーするのは「トークン」と呼ばれる金融資産

 狭義の金融資産は、債券や株券、投資信託などの金融商品取引法(金商法)で定義される有価証券やデリバティブ(金融派生商品)、および円やドルなどの法定通貨である。一方で、ブロックチェーンがカバーする金融資産はそれよりも広い。それらは「トークン」などと呼ばれている。トークンの商品性として、例えば以下のような分類ができる。

トークンの分類
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 金商法などで定義されるような狭義の金融商品のほかに、仮想通貨や会員権などの商品性を持ったものも含まれてくる。さらに、トレーディングカードやゲーム内アイテムなど、それ自体は資産的な裏付けを持たないものの、価値を認める人が存在するようなものが存在する。そのようなトークンの代表例として、イーサリアム上のゲームトークンとして発行されている「CryptoKitties」がある。これは、保有しているキャラクター同士をブロックチェーン上で掛け合わせる(交配させる)ことによって、ランダムに新しいキャラクターが生成されるゲームで、見た目の珍しいキャラクターが高値で売買されている。興味のない人には信じられない話だが、一時期は1000万円を超える価格で売買されるキャラクターも存在するなどして話題を呼んだ。

 このようなありとあらゆる金融資産がトークン化され、ブロックチェーン上で流通され始めている。

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