前回は、ブロックチェーンの課題の1つである「スケーラビリティ」について、主な対策を取り上げた。今回は、残る4つの課題である「プライバシー」「ガバナンス」「セキュリティー」「標準化」について最新事情を紹介する。

 プライバシーから見ていく。ブロックチェーンはそもそも「誰が誰にいくら送る」というトランザクションの履歴を明らかにする検証メカニズムになっている。トランザクションがブロードキャスト(ネットワーク全体のノードに送信すること)されると、この「誰が誰にいくら送る」という情報を記載したパケットが配信される。これを受け取ったノードは、手元の台帳を参照しながら二重使用していないかをチェック。こうした仕組みによって、ブロックチェーンは不正な取引を防止している。

取引履歴が明らかにされるブロックチェーン
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 しかし「誰が誰にいくら送る」という内容を参加者全員に公開すると、取引内容によって情報がさらされるのを嫌がる人がいる。これがプライバシーに関する課題である。

 そこでトランザクションの「誰が誰にいくら送る」という情報を、ブロックチェーン上で秘匿したまま公開し、公の下で検証できる技術が開発されつつある。具体的には、暗号化したまま演算処理を行う技術だ。署名者の情報や、送った金額の情報を隠した状態で、参加者が検証できるようになっている。

 例えば「誰が誰に」という情報をひも付けるトランザクションリンクの技術として「CoinJoin」や「Ring署名」がある。これらの技術を用いれば、情報の混合・隠蔽が可能となる。また「zk-SNARKs」と呼ぶ技術を使えば「誰が誰にいくら送る」といった情報を隠蔽したまま参加者が検証できる。

 ただしトランザクションの秘匿化には、暗号化の計算を追加で実行するのでトランザクション検証の負荷が増大する問題がある。パフォーマンスが悪くなるだけでなく、トランザクションサイズが大きくなってしまう問題もある。そこでプライバシー対策に当たっては、トレードオフの関係を理解し、負荷軽減を図る改善を経ながら、実用化を進める必要があるだろう。

取引履歴を秘匿する技術が開発されている
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