LINEとメルカリ。日本を代表する新興IT企業が、2018年からブロックチェーンへの取り組みを本格化させている。

 「とっておき、秘密のプロジェクトを特別に公開します――」

 メルカリの金融子会社メルペイの曾川景介CTO(最高技術責任者)は2018年10月4日、メルカリが開催したイベントの基調講演に登壇し、ブロックチェーンを応用した試作アプリ「mercari X」を公開した。

秘密のプロジェクト「mercari X」
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 曾川CTOはmercari Xを「『次のメルカリ』のコンセプトモデル」と表現する。ブロックチェーン上で生成したデジタルトークン「メルコイン(mercoin)」を取引の媒介として、出品やエスクロー(第三者預託)など基本的なCtoC取引の機能を備える。

 「社内で実際の取引に利用され始めている」(曾川CTO)というが、mercari Xは研究開発を目的とした試作アプリであり、現時点で一般公開の予定はないという。

メルペイが手掛けるブロックチェーンの研究開発分野
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実用化で一歩先んじるLINEのブロックチェーン

 LINEはメルカリより一足早く、ブロックチェーン応用サービスの実運用に乗り出した。同社は2018年9月27日、ブロックチェーン上で動作する分散型アプリケーション「dApp」を年内に5つ展開すると表明した。開発を担う社内組織「LINE Blockchain Lab」を2018年4月に立ち上げており、年内に30人の陣容とする計画だ。

 LINEの出澤剛社長は同日に開催した記者説明会で、ブロックチェーンについて「第1世代では仮想通貨、第2世代ではスマートコントラクトなど通貨以外への応用が進み、第3世代では社会のあらゆるシーンで活用されるようになる」と語った。

 5つのアプリケーションのうち、Q&Aサービス「Wizball」、未来予想プラットフォーム「4CAST」は既にWebサービスのβ版を公開済み。「Wizball」は10月下旬にスマホアプリ版も公開する予定だ。商品レビュー「Pasha」、グルメレビュー「TAPAS」、ロケーションSNS「STEP(仮)」は2018年末~2019年初頭に公開する計画だ。

5つのアプリケーションの公開ロードマップ
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 回答やレビューを投稿するなどサービスに貢献したユーザーに対しては、LINEがプライベートブロックチェーン上で生成したデジタルトークン「LINK Point」を報酬として配布する。国内向けに発行するLINK PointはLINEポイントに交換でき、決済などに使える(海外向けには仮想通貨「LINK」を発行する)。

 一見すると通常のポイントサービス制の延長に見えるが、Blockchain Labエンジニアの那須利将氏は、ブロックチェーンを使うことで「透明性の高いサービス運営が実現できる」と語る。「Pythonベースのスクリプトに従いスマートコントラクトでLINK POINTを配布する。ポイントの取引も公開される」(同氏)。

LINEが運用するブロックチェーン上でのトークンのやりとりを表示するサイト。取引のスマートコントラクトはPythonで記述している
(出所:LINE)
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 レビューサイトやQ&AサービスのようなUGC(User Generated Contents)サービスの運用に当たっては、質の高い投稿を促すインセンティブ(報酬)の設計と、報酬の透明性が求められる。トークンの取引履歴やスクリプトに対する改ざんが困難なブロックチェーンの特性を、UGCサービスの透明性を高めるのに生かす発想だ。質の高い投稿を促すため、LINEはインセンティブ設計の理論に詳しいエコノミスト数人を雇用しているという。

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