日経BP総研 社会インフララボは、林野庁の2018年度補助事業において「CLTを含む中大規模木造建築物の設計・施工者育成推進のための提案」検討委員会を組織している。2018年11月9日、東京・有明の「江東区立有明西学園」で実例見学会と検討委員会を行った。地上5階建て、延べ面積約2万4500m2、鉄筋コンクリート(RC)造・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)・鉄骨(S)造・木構造の混合構造の学校だ。

 東京都江東区では、マンション建設の急増などによって人口が増加している。中でも、臨海部の有明地区については、増加する児童・生徒に対応するための学校施設の確保が課題となっている。

 江東区は古くから貯木場を有し、現在は区内の新木場が木材の流通拠点となっている。このような背景もあり、かねてより積極的に公共建築の木質化に取り組んできた。さらに、学校を新設する有明地区には、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技会場を複数建設している。世界中や日本各地からの来訪者に向けて、江東区の木の文化を発信する施設としての役割も期待された。

 このようなことから江東区は、「江東区公共建築物等における木材利用推進方針」および「江東区立小中学校の改築・改修に関する基本的な考え方」に基づいて、積極的な木材利用を検討した。江東区ではこれまで学校の新築や改修において木質化の経験は多くあったが、有明西学園では構造の一部を初めて木構造とした。

江東区立有明西学園の外観。東側の前期課程昇降口付近から建物を望む(写真:都築 雅人)
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 施設計画は、敷地の北西が弓なりに湾曲していることもあり、校舎の配置は南側にグランドを包み込むような弓なりの形状とした。有明西学園は、前期課程(6年)と後期課程(3年)に分かれており、右側に前期課程、左側に後期課程の教室を配置する。グランドもそれに合わせて、右側に小さめの前期課程トラック、左側に大きめの後期課程トラックとしている。

 また地域に開くために校舎の左右に地域交流広場をそれぞれ設けて、児童・生徒の昇降口のほか保護者など外部の人も入ることができる入口を設けた。

配置図(資料:竹中工務店)
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前期課程トラック側から校舎の全体を望む。外壁は当初は天然木材張りを計画していたが、メンテナンスなどを考慮して人工木材張りを採用した(写真:都築 雅人)
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 1階には職員室や応接室、会議室や給食室といった管理諸室を設け、左右の昇降口に前期課程、後期課程それぞれ体育館を設けている。

1階平面図(資料:竹中工務店)
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前期課程の児童の昇降口。床や下足箱のほか、ルーバー状の天井も木質化した(写真:都築 雅人)
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前期課程側のエントランスホール。中央のRC造の柱のまわりには、26種類の木に樹種を明記して児童・生徒に様々な木があることを知ってもらうことを意図した(写真:都築 雅人)
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東端に位置する前期課程のRC造体育館。構造的に、横に長い校舎を両端から押さえ込むような役割を担う。上部(4階)にあるプールを大きな鉄骨梁で受け止めて支えた。床、壁などは木質化した(写真:都築 雅人)
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