都市部で木材利用を進めるには、木造建築が有効な手段となり得る。だが、これまで鉄骨(S)造や鉄筋コンクリート(RC)造を主としていた設計者は、木造にあまり詳しくない。戸建て住宅レベルの木造の知識を持っていても、それだけではなかなか歯が立たない。この現実とどう向き合うか。前編に続き、法政大学デザイン工学部建築学科教授の網野禎昭氏に聞く。

林業が持続するために、都市部では木材需要の役割が期待されます。

 これからの都市の木造というと直交集成材(CLT)による多層階建築のイメージが先行しがちですが、高度に加工された木質材料を使わなければならない理由など、どこにもありません。木造建築では、丸太とは言わないまでも、一般製材を中心に木材をどんどん使っていってもらいたいですね。

 実際、18世紀に建てられた欧州の4、5階建ての建築では、床をつくる際は半割り丸太を敷き詰めて砂利で覆っているだけだったりします。それでも遮音性などは問題なく今でも使われ続けています。現代の日本でも、自然に近い状態で木材を活用できると思います。

丸太を敷き詰めた床の断面イメージ(写真:網野 禎昭)
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現状の木造建築の課題を教えてください。

 今、日本では木を加工して精度や性能を確保することが当たり前となり、これによって効率を落としているように感じます。木造建築を建てる際に集成材が必要になると、山が近くにあっても遠く離れた集成材工場まで原木や製材を運び、加工してから現場に戻す――なんてことも珍しくありません。

 本来は過度な加工をせずとも建てられるはずです。例えば角に丸みが残ってしまったB材を、さらにひき直したり木質材料の素材にしたりしなくても、適切に評価すればそのまま使えます。

 丸太でも質の高い木造建築ができるようになる可能性はあります。過度に加工しない木材をたくさん使える場面を増やしたいですね。