国産木材の需要がなかなか高まらない。このような状況では、森林所有者が積極的に木を伐採し、販売する動きにはつながりにくい。その背景には、山、製材、建築の分断がある。前編に続き、愛媛県久万高原町で地域林政アドバイザーを務める本藤幹雄氏に解説してもらう。

愛媛県久万高原町で地域林政アドバイザーを務める本藤幹雄氏。西日本有数の林業地帯である久万高原町は、スギを中心とする人工林率が80%に達しており、戦後の積極的な造林事業の展開によって資源的に成熟期を迎えている(写真:ホルグ)
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前編では、日本の山、製材、建築の関係が分断しているという話を伺いました。再構築する方策はありますか。

 それぞれのプレイヤーが協力する必要があります。山側が建築側のニーズを理解することはとても重要ですし、山、製材、建築が一堂に会する場もつくらなければならない。

 そして、山側と製材が安定的に供給できる木材の物量を確保し、建築側に示すこと。それには科学的なデータ、情報通信技術(ICT)を含めた新技術、機械の進展、労働環境の改善などが必要です。そうして安定供給できるシステムを構築すれば、建築側に対して価格交渉力を持つことができるようになります。

林業はコスト高と聞きます。

 効率性の改善も重要です。欧米に比べて日本の林業は無駄が多過ぎます。今ある資源をフル活用してコストダウンを図る能力を欧米は持っていますが、日本にはそれがない。ただでさえ林業機械はほぼ外国製で、導入に際しコストアップになります。だから高性能のシステムを使えるのは、一定以上の資産規模を持つ組織だけとなる。

 テクノロジーの進歩に林業も追いつかなければなりません。全地球測位システム(GPS)やドローン(小型無人機)の写真撮影などを活用して測量し、森林を管理していく。そうしたことができるようになれば、管理コストは劇的に下がります。

新しいテクノロジーを導入し、森林を管理する。ドローンが取得した山林の3次元データなどと既存のデータと組み合わせて図面を作成したり、GPSを利用した自律飛行による情報収集などを行ったりできる(写真:本藤 幹雄)
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