木材は工業製品とは違う

久万広域森林組合久万市場の原木市場の様子。「平成29年度 森林・林業白書」によると、2016年国内原木市場の原木取り扱い量は1068万m3で、その内訳は、国産材が99%で1056万m3、輸入材が1%で12万m3(写真:久万広域森林組合久万市場)
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設計者の過剰な要求が林業を苦しめている、と。

 木材は生物由来の製品なので、工業製品のように全く同じ状態にして納品することは難しい。無理にそうしようとすると、いったん粉々にして接着剤でくっつけ直すとか、集成のためにばらばらにして組み直すなどの加工が必要となります。

 でも、その加工が本当に必要なのかという議論がされないまま、利便性だけを優先して発注されてきました。需要者が無尽蔵な要求を突き詰めた結果として、山側が動けなくなっています。

 こうした分断化によって木材の安定供給ができなくなった日本の林業は、欧米企業に太刀打ちできない。これが現実です。

なぜ、このような分断が起きてしまったのでしょう。

 昔は大工が山に行って、「この木をこの金額で売ってくれよ」と言っていたのです。頭の中で図面を描き、これは床材にしようとか、これは梁にしようとかを考えながら自分で木を調達し、中には自分で製材する大工もいました。

 山師と言う言葉を聞いたことがあると思います。昔は悪い業者もいて、安い値段で立木(りゅうぼく)を買い漁って製材し、高い値段にして大工に売りつけていたのです。

 それを防ぐために原木市場ができて、競りになって定着していきました。ところが時がたつにつれ、木材需要が落ち込んでしまった。木造の高層建築に規制がかかったため、公共施設などで木材が使われなくなり、結果として住宅だけに木材を使うようになった。

 そして住宅メーカーが登場してきます。住宅メーカーは基本的に同じパターンを繰り返して大量の家を建てます。効率重視だから仕入れる木材が同一化・同質化するのです。

 やがてプレカットも登場してくる。大工が手がける仕事はどんどん減っていく。規格寸法に合わせた木材さえ手に入ればよくなり、大工が山に行って木を選ぶ必要はなくなる。必然的に、山、製材、建築の関係が変わってきました。(後編に続く