財源は600億円

 森林環境税は国内に住所を有する個人から1人あたり年間1000円を課し、市町村が個人住民税と併せて徴収する。個人住民税の納税義務者が全国で約6200万人となるため、財源としてはおおよそ600億円を見込む。一方、森林環境譲与税は徴収した森林環境税を、利用する主体である市町村と都道府県に配分する際の名称となる。

森林環境税(仮称)および森林環境譲与税(仮称)の制度設計のイメージ(資料:林野庁)
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 森林環境譲与税は2019年4月に施行されるが、森林環境税は復興特別税の住民税の納税期間を終える翌年、2024年4月から施行される。復興特別税の住民税と同額で、以降、恒久税となる。

 なお、各年度の森林環境譲与税の金額は、市町村の体制整備に合わせて徐々に増加するように設定している。2019(下の資料中のH31)~2021(H33)年度は約200億円、2022(H34)~2024(H36)年度は約300億円、2025(H37)~2028(H40)年度は約400億円、2029(H41)~2032(H44)年度は約500億円、2033(H45)年度以降は約600億円となる。

 2019(H31)~2023(H35)年度は譲与税特別会計で借り入れたものを、2024(H36)年度以降の森林環境税の徴収額から償還していくこととなる。2033(H45)年度には、市町村9割、都道府県1割の譲与比率となるが、2019(H31)年度時点では都道府県が2割の譲与を受け、徐々に1割まで比率を落としていく。

森林環境譲与税(仮称)の各年度の譲与額と市町村および都道府県に対する譲与割合など(資料:林野庁)
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 市町村分および都道府県分は、各自治体の「私有林人工林面積(比重50%)」、「林業就業者数(同20%)」、「人口数(同30%)」によって案分する。基準となる指標には国勢調査の結果などを想定している。

 森林環境譲与税の市町村における具体的な使途については、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発などを想定する。都道府県では市町村の支援などに関する費用を想定する。基金として積み立てることも可能だ。

 森林を適切に管理することの重要性はもちろんだが、利用期を迎える森林の木材需要が増加しなければ、今後、森林管理を継続的に実施するコストは増大し続ける一方となる。それを防ぐには、まず継続的に木材需要を喚起する施策が求められる。その需要を満たす過程の中で、恒常的に森林管理がなされる状態を構築しなくてはならない。

 追い風もある。2018年6月に建築基準法が改正され、2019年にかけて順次施行が始まっている。現時点で国産木材はコスト面から厳しい局面にあるが、木造建築の規制の合理化によって中大規模木造が一般化すれば、今後はコストの抑制が見込める。その先に供給増という好循環が生まれれば、さらなるコスト低減による需要拡大の可能性も見えてくる。

 現在、行政は庁舎や公民館、学校などの老朽化に直面し、公共施設そのものの在り方が問われている。2010年10月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(公共建築物等利用促進法)」が施行されて、今では各地で多くの公共施設が木造で建てられるようになった。一方、新しい木質材料や技術工法も次々と登場しており、民間施設でも木造が目立ち始めている。

 ただ、闇雲に木材需要の喚起を意図するのではなく、事例を通じて木造とすることの優劣を冷静に見極める必要はある。そして継続的かつ長期的に国産材の市場を育成できるよう、需要側の建築でも森林や林業の将来について考えることが求められている。